4ストモデルでも軽いバイクを作るのが得意 だからヤマハはハンドリングが軽快!?

誰がなんと言おうと、軽快なハンドリング!不等間隔爆発の重要性にいち早く着目

「クルーザーはV型エンジンに」という要望に応えて開発したものですが、45度のハーレーダビッドソンに対し、ヤマハは75度という答えを、鼓動感、性能、車体設計への影響、V字の美しさなどを検討した上で導き出します。力強いトルク特性で、クルージングでのゆったりとした走行フィーリングをもたらしました。

『XV750E』を見ていると、アメリカンクルーザー用に開発したVツインエンジンでさえも、ロードスポーツにしてしまうというヤマハの姿勢に拍手を贈りたくなります。時代はレーサーレプリカへ突入していき、絶対的パワーが良しとされていく風潮があるなか、「やっぱり4発よりも2気筒の方が軽くていんじゃないか」っていうヤマハ開発陣の心の奥が読み取れます。

 軽快なハンドリングを優先し、頑固なまでに2気筒や単気筒エンジンの追求をやめなかったヤマハは、1995年にDOHC5バルブ並列2気筒のロードスポーツ『TRX850』を発売。このとき270度クランクによる不等間隔爆発のトルクフィールがトラクションに優れることに着目し、2004年型以降のMotoGPマシン『YZR-M1』や11年式『YZF-R1』で採用することになる「クロスプレーン型クランクシャフト」(不等間隔爆発をもたらす)へと技術が受け継がれているのです。

2004年型MotoGPマシン「YZR-M1」

 こうしてヤマハの4ストローク、そしてビッグバイクは70年代から定着し現代に至りますが、そのテクノロジーや開発コンセプトは再三言うとおり最新モデルたちにも引き継がれ、「ハンドリングのヤマハ」は昔から変わっていません。ヤマハならではの軽快な走りが、バイクファンをこれからも魅了することでしょう。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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