トヨタが「事故ゼロ」へ本気示す! 「インフラ協調」「人の先読み」で変わる未来のクルマとは
トヨタの知能化を加速させる「土台」。「Arene(アリーン)」とは何か
今回発表された「インフラ協調」や「AIエージェント」といった高度な知能化技術。これらの複雑なソフトウェアを動かし、実現するための「重要な土台」となるのが、ウーブン・バイ・トヨタが開発を主導するソフトウェアプラットフォーム「Arene(アリーン)」です。
従来のクルマは、機能ごとに多数の電子部品(ECU)とソフトウェアが複雑に分断されていました。アリーンは、これらを整理・統合し、高性能なソフトウェアを効率よく開発・実行するための基盤となります。
アリーンはすでに市販車への搭載が始まっており、新型「RAV4」がその第一弾。RAV4では、「先進運転支援システム(TSS)」と「コックピット(マルチメディア)」の2領域でアリーンが採用されました。
具体的な効果として、TSSの品質向上やコックピットの操作性向上に寄与しているほか、開発面でも大きなメリットを生んでいます。
アリーンの基盤には、クラウド上で車両の機能をシミュレーションする評価ツールが含まれており、従来の実車テストでしかできなかった評価を開発の「前段階」で行えるようになりました。これにより、開発期間の短縮や、安全性をさらに高めるための評価に時間を割くことが可能になったのです。

トヨタは、アリーンを単なる車載OSとは定義していません。車内だけでなく、クラウド上でのデータ解析やシミュレーションツールまでを含む、より広範なプラットフォーム「More than OS(OSを超える存在)」であると位置づけています。そのため、呼称も「アリーンOS」ではなく「アリーン」に統一したとのこと。
今後は、RAV4で採用された2領域に加え、走行性能に関わる「ダイナミクス」や「ボディ」制御といった領域にもアリーンを拡大していく計画です。
特に、乗り心地の変更や車内機能の連携など、無線アップデート(OTA)による機能追加が求められる領域から、優先的にアリーン化が進められるといいます。
そしてトヨタは、このアリーンの未来について、「一社では実現できない事故ゼロ社会の実現」に向け、いずれはトヨタ以外の自動車メーカーやパートナーにもこの基盤を使ってもらうことを構想していると明かしました。
クルマ単体の進化から、インフラや人と協調する「知能化」へ。
トヨタの本気の「事故ゼロ」への挑戦は、自社開発のソフトウェア基盤「アリーン」を核として、業界全体を巻き込む大きなうねりになろうとしています。
Writer: くるまのニュース編集部
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