現在1300万円超え!? ホンダの「和製スーパーカー」何が凄い? ミッドシップにパワフル「V6自然吸気」搭載でクルマ好きも大興奮! 国産屈指の名車「NSX」をいま試してみる

販売終了から年数が経過しても、なおも根強いファンを持つスポーツカーがホンダ「NSX」です。くるまのニュース編集部のNは、幸運にも試乗する機会に恵まれました。

やっぱり凄かった「NSX」

 日本国内のみならず、世界的に人気が高まっている1980年代から1990年代の国産スポーツカーですが、その“頂点”に君臨するのがホンダ「NSX」です。

 スポーツカーという定義を超え、もはや「和製スーパーカー」とも称される存在のNSXですが、どのようなクルマなのでしょうか。今回、くるまのニュース編集部の若手Nが試乗する機会に恵まれました。

「NSX」の凄さを振り返る
「NSX」の凄さを振り返る

 NSXは、1990年9月に登場しました。

 量産車として、世界初のオールアルミモノコックボディを採用したほか、本格的なミッドシップレイアウトに大パワーの3リッターV型6気筒「VTEC」自然吸気エンジンを搭載し、高い運動性能を実現。

 さらに、高性能かつ軽量なアルミ素材を用いたダブルウィッシュボーンサスペンションや、当時としては画期的なTCS(トラクションコントロールシステム)、デジタル制御のABSを搭載するなど、ホンダの最先端技術が惜しみなく投じられています。

 スタイリングは超音速ジェット機をイメージした、非常に低くワイドなもので、初期モデルでは空力性能とデザイン性に優れるリトラクタブルヘッドライトを採用しています。

 製造は通常の生産ラインとは異なり、NSX専用の少数生産用工場を建設。開発時には世界一過酷ともいわれるドイツの長大サーキット「ニュルブルクリンク」を走り込み、またF1ドライバーのアイルトン・セナ氏からのアドバイスも受けるなど、ホンダ車のなかでもひときわ特別なモデルとなっています。

 当時のCMもまた印象的なもので、黒バックに「our dreams come true.」という言葉が映し出されたあと、NSXが走行するシーンとともにV6 VTECのサウンドが響き、ナレーションのほか、クルマのスペックなども一切語らないという内容でした。

 このCMの世界観が記憶に刻まれている人も多いようで、NSXを語るうえで「our dreams come true.」の言葉は欠かせないものとなっています。

 発売当初は1モデルのみの展開で5速MTと4速ATを設定。当時の価格(東京店頭・消費税除く)は5速MT車が800万3000円、4速ATが860万3000円でした。

 以後、運動性能を重視しチューニングを施したスペシャルモデル「NSX タイプR」やオープントップモデル「NSX タイプT」、スポーティかつ質感を高めた「NSX タイプS」などを設定。

 さらにモデルライフではエンジンが3.2リッターへとパワーアップされ、ミッションも6速へとアップデート。フロントフェイスもリトラクタブルヘッドライトから埋込式に変更するなど、いくつかの改良が施されましたが、2005年12月末に販売を終了しました。

 2017年に後継のハイブリッドモデルとして復活するまで、一度幕を下ろします。この後継もすでに販売を終了しています。

 以後、国産スポーツカーの“黄金時代”を飾るモデルとして、トヨタ「スープラ」や日産「スカイラインGT-R」、マツダ「RX-7」などとともに、今もなお多くのファンを魅了し続けています。

 さて、今回編集部では9月、ホンダ車のアクセサリーパーツを手掛けるホンダアクセスが所有するNSXに乗ることができました。

 今回乗ったNSXは1999年式のタイプS 6速MT車で、ボディカラーは「ミッドナイトパール」。晴天のもとだとNSXの存在感のあるスタイリングが強調されるとともに、妖艶な輝きを放ち、スペシャルなモデルであることを感じます。

 ドアを開けると、着座位置の低さに驚きます。サイドシルには「NSX MANUFACTURED BY HONDA MOTOR」のメタルスカッフプレートが目に入り、スペシャルモデルに乗れるという高揚感を高めます。

 ホンダアクセス所有の車両ということで、リアにはNSX終売後の2011年に発売された「トランクスポイラー(カーボン)」を装着。

 純正然とした仕上がりですが、凹形状となっていることで、日常域でも空力を感じられる「実効空力」を追求し、ハンドリングとスタイリングの向上に寄与します。

和製スーパーカー「NSX」
和製スーパーカー「NSX」

 今回の試乗では短時間であり、高速道路や郊外のワインディングを試せなかったものの、官能的に響き渡るエンジンサウンドを心ゆくまで堪能できました。

 8000回転のレッドゾーンまで一切の淀みなく回るC32B型エンジン(最大出力280馬力・最大トルク304Nm)は、ターボや電動ユニットなどを介さない、完全ピュアな「スポーツエンジン」。

 ミッドシップのレイアウトにより、アクセルを踏みこむと同時にドライバーの直後から「クゥゥゥン」というサウンドを間近で味わうことができ、まさにCMで放映されていたものと同じフィーリングで、快感そのもの…。

 また試乗車はアルカンターラのフルバケットシートやステッチ入りのインパネやドアトリムなどを装備する上質仕様のタイプSでありましたが、そうした雰囲気とは真逆の超クイックなシフトフィールにも驚きます。

 もはやレーシングマシンと思えるほどのショートストロークでギアが入っていき、V6のVTECエンジンを自由に操れ、「和製スーパーカー」の異名で語られるのも全く不思議ではありません。

 ステアリングは予想よりも重いですがクイックで、旋回時はクルマの中心から回転するような感覚で、ミッドシップの恩恵を感じます。ワインディングをじっくり楽しんでみたい気分になりました。

 もちろんスポーツ走行を見据えたモデルではありますが、低回転時のトルクもたっぷりあり、発進停止を繰り返す市街地でも非常に扱いやすく、落ち着いて運転できます。

 ただし、いい意味で街中では非常に目立つようで、すれ違うクルマのなかには、NSXと出会って驚いた表情をする人や、わざわざ振り返って見る人もおり、登場から35年、販売終了から20年を経過しても、国産屈指のスペシャルモデルとして、今でもクルマ好きをくすぐる魅力に溢れていることに気づきます。

 短時間の試乗はあっという間に終わってしまい、乗り換えることが非常に惜しかったNSX。クルマ好きならば誰しもが憧れる理由がわかりました。

 10月中旬、大手の中古車検索サイトを見ると50台ほどのNSXが販売されていますが、平均価格は1300万円を超えており、そうそう手が出るものではなさそう。北米をはじめ、海外への中古車輸出も増えているようで、NSXは今後も「伝説」のクルマになりそうです。

【画像】超カッコイイ! これが和製スーパーカー「NSX」の全貌です!(30枚以上)

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Writer: くるまのニュース編集部

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