「知ってた?」 タイヤの「赤と黄色の丸」意味… 気にしなくて大丈夫? 乗り心地が変わる!? 大切なマークとは
タイヤの側面にある赤や黄色の丸いマーク、その意味をご存知ですか? これは不具合のサインではなく、タイヤの性能を最大限に引き出すための重要な「目印」です。各マークが持つ意味と、プロの整備士がどのように活用しているのかを分かりやすく解説します。
タイヤに記された「メッセージ」の正体
新品のタイヤに交換した際、側面に赤や黄色の丸いマークがペイントされているのを見たことはありませんか。
これは何かの不具合を示すサインではなく、実はタイヤの性能を最大限に引き出し、安全で快適なドライブを実現するために付けられた重要な「目印」なのです。

愛車のタイヤをふと眺めたとき、メーカー名やサイズ表記のほかに、赤色や黄色の小さな丸いマークが描かれていることに気づくかもしれません。
普段は気にも留めないこのマークですが、一体ドライバーに何を伝えようとしているのでしょうか。
何かが剥がれた跡のようにも見えますが、これは意図的に付けられたもので、タイヤをホイールに正しく組み付けるための重要な情報を示しています。
これらのマークは、タイヤが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、その特性を視覚的に示したものです。
特に「重さのバランス」と「形状の均一性」という、乗り心地や安全性に直結する2つの要素に関わっています。
赤の丸いマークは、「ユニフォミティマーク」と呼ばれていて、タイヤの縦方向の一番硬い部分を示しています。
「Uniformity(ユニフォーミティ)」とは、統一性、均一性、一様性という意味。
タイヤのユニフォーミティの場合は、均一性という意味で使われていて、真円度を示す表記で使われているケースもあります。
タイヤの製造において、真円を実現するのは難しく、真円に近づくほど、乗り心地やハンドリングなどに好影響(真円に遠ければ悪影響)を及ぼします。
ユニフォミティマークは、タイヤを適正に使うために付けられています。
タイヤをより真円にセットできるように、外径の最も大きい部位を示すためのマークです。
タイヤは、一見すると真円に見えますが、実際には微細な凹凸や重量の偏りがあり、ユニフォミティマークとホイールの白いマーク(ローポイントマークやボトムマークと呼ばれる)に合わせることで、より真円に近づけることができます。
対して、黄色(もしくは白色)のマークは、タイヤ(全周)で最も軽い部分に付けられていて「軽点マーク」と呼ばれています。
軽点マークとホイールのエアバルブの位置を正確に合わせることで、組み合わせの状態で重量のバランスを取ることが可能になるわけです。
なお、欧州メーカーのほか、国産メーカーも近年はタイヤの製造精度(品質)が向上し、軽点マークが見られないタイヤもあります。
欧州などのメーカーは、タイヤの重量の均一性、真円性が十分に確保できているという設計思想を持っているためで、どの位置で組み付けても問題ないと考えているためです。
こうしたユニフォミティマークや軽点マークで正しくタイヤを組み付けるのは基本とされていますが、ユニフォミティマークや軽点マークがない場合もあり、プロによっては多様なノウハウがあります。
さらに、タイヤが真円ではない以上、バランス調整も不可欠でタイヤショップなどのプロにお任せするのが基本です。
これらのマークは、法律で表示が義務付けられているわけではなく、あくまでタイヤを最適に組み付けるための参考情報です。
マークを基準に組み付けた後も、専用の機械(ホイールバランサー)を使って、高速回転させた際の微細な振動を検知し、「バランスウェイト」と呼ばれる小さな重りを取り付けて最終的な調整を行います。
この「バランス調整」こそが、安全で快適な走行を実現するために不可欠な作業なのです。
タイヤ交換を自身で行う場合は、この知識が役立つかもしれませんが、基本的には専門的な技術と設備を持つプロの整備士に任せるのが最も確実で安心です。
Writer: 塚田 勝弘
中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー用品などのフリーライター/フリーエディターに。軽自動車からミニバン、キャンピングカーまで試乗記や使い勝手などを執筆。現在は最終生産期のマツダ・デミオのMTに乗る。


















