トヨタの「“スゴい”2人乗りスポーツカー」に注目! 全長4.4mの「ちょうどイイサイズ!」に高性能4WD搭載? 次期「スープラ」想わせるワイド&ロースタイルの「FT-Se」コンセプトに期待大!
前回の「ジャパンモビリティショー2023」でトヨタが初公開したコンセプトカー「FT-Se」。低い全高とワイドな車幅、睨みを利かせたLEDヘッドライトを備えたこの2ドアクーペは、「未来のスープラ」の姿を示すものかもしれません。
SUVとも共有できる柔軟な設計のプラットフォームを採用
2026年春に生産終了となるトヨタの本格スポーツカー「GRスープラ」ですが、次期型の登場も大いに期待されるところです。
かつてTOYOTA GAZOO Racingが、モータースポーツを起点とする「もっといいクルマづくり」の思想のもとに提案した「FT-Se」が、実はその未来像を示していたかもしれません。

2023年10月に開催された「ジャパンモビリティショー(JMS)2023」で、鮮やかなオレンジゴールドのボディカラーとともに鮮烈デビューを果たしたトヨタの2シータースポーツBEV(バッテリーEV:電気自動車)コンセプト「FT-Se」。
ボディサイズは、全長4380mm×全幅1895mm×全高1220mm、ホイールベース2650mmと、GRスープラ(全長4380mm×全幅1865mm×全高1295mm、ホイールベース2470mm)と比べると、全長は同じで全幅は30mmワイド、全高は75mmも低い、ロー&ワイドなスポーツカーです。
ドライバーをホイールベース中央に配したパッケージングとし、極端に短い前後オーバーハングや、エッジを利かせたキャラクターライン、強いダウンフォースを発生する前後バンパーの形状など、そのデザインはまさにレーシングカー。
リアトランクエンドを跳ね上げたデザインは、現行のGRスープラを彷彿とさせます。
インテリアも、ヨーク型ハンドルや小型メーター、プッシュ式ギアセレクタなど、無駄を省いたレーシングカーらしいデザインを採用。鮮やかなブルーのスポーツシートやニーパッドなども、スポーツ走行を前提に設計されていることがわかります。
駆動方式は、前後に高出力モーターを搭載したAWDで、フロントに265/35R20、リヤに295/35R20のミシュラン製ハイグリップタイヤを装着。サーキット走行などの超高速域まで想定した性能設計がなされているようですが、モーター出力などのスペックは非公開でした。
BEVの高性能スポーツカーといえば、ポルシェ「タイカン」やテスラ「ロードスター」、アウディ「e-tron GT」、シャオミ「SU7」など、想像を絶するほどの強烈な加速をする高性能BEVが既に登場しており、このカテゴリで勝負して出るには「速さ」以外で新たな特徴が欲しいところです。
トヨタによると、FT-SeはSUVタイプの「FT-3e」と主要コンポーネントを共用するそう。
従来の自動車開発では考えられない、SUVとスポーツカーをひとつのプラットフォームでつくるという無理難題を、この次世代EVプラットフォームでは、複数部品を一体成形する大型鋳造「ギガキャスト」技術などを取り入れ、部品点数削減と生産効率向上、さらには軽量化と高剛性化などによって、解決するとしています。
これらによって製造コストを下げ、誰もが手に入れやすい価格で提供する。これこそがFT-Se最大の特徴といえます。
このFT-Seのつくり方を導入したうえで、トヨタが開発中の新型2リッターターボエンジンと電動ユニットを搭載したモデルが、「次期スープラ」の姿なのではないでしょうか。
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北米市場の自動車動向なども加味すると、次世代のスープラは一足飛びにBEVではなく、ハイブリッド車かプラグインハイブリッド車になると予想しています。
現時点でトヨタからの公式発表はありませんが、次期スープラの一日も早い登場が待たれます。
従来の自動車開発の工程を見直すことで、製造コストを下げ、誰もが手に入れやすい価格で提供する。トヨタが目指すこれからのスポーツカー開発にも大いに期待したいところです。
Writer: 吉川 賢一
日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど


































