スバル新型「ソルテラ 日本仕様」公開! 「出力50%アップ」&航続距離は“2割増し”に! 内外装から“中身まで大幅進化”! 「想定外な運転の楽しさ」を得たマイナーチェンジモデルの実力とは?
大規模な改良のカギは「今後のモデル展開」にあり!
とはいえ、ここまで大規模な変更を行うには莫大なコストがかかるはず。失礼ながら、ソルテラは決して大ヒット車種というわけではありません。
兄弟車であるトヨタ「bZ4X」の存在があるとはいえ、「販売規模に対して改良コストが見合うのか」という疑問も浮かびます。
この謎を解くカギは、スバルのEV戦略――正確には、トヨタとスバルが進める“共同EV戦略”にあります。

ソルテラはbZ4Xの兄弟車ですが、実はこれだけではありません。今後スバルは、ソルテラに加えて「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」、そしてもう1台の新EVを加えた計4モデルの展開を予定しています。
これら4車種は共通のプラットフォームとメカニズムを使用。つまり、今回のソルテラ改良に投じられたコストは、ソルテラ単体ではなく“4モデル共通”の投資なのです。
さらに、トヨタ側の兄弟車を含めれば合計8モデルが同じ基盤を使うことになります。
1台ではなく8台で開発費を分担できるからこそ、ソルテラへの大規模投資が可能になったというわけです。

ちなみに今回、発売前にワインディングロードを模したテストコースで新型に試乗する機会がありました。
まず従来モデルで1周走ったあと、新型に乗り換えてスタート。その瞬間から、速さの違いがはっきり分かります。
スタートからの伸びが明確に違い、「パワー5割増し」は伊達じゃないと感じました。
そして驚いたのはコーナリング性能。ハンドルを切るとスムーズにノーズが向きを変え、旋回中も姿勢が安定。ロールの収まりがよく、S字コーナーの切り返しでも挙動が落ち着いています。
従来型にも不満はありませんでしたが、新型は一段上の完成度。正直、ここまで運転が楽しいとは想定外でした。
エンジンを搭載しないことで前後重量配分が最適化され、バッテリーを床下に配置したことで低重心化。
さらにモーターの出力特性が加速の鋭さに貢献し、ワインディングでも驚くほど軽快に走ります。
加えて新型のAWD制御では、「アクセルの踏み込み量から前後タイヤへの動荷重を予測してドライバーの意思に素早く反応」「ステアリングの舵角から横Gを推定して駆動力を配分」といった新たなロジックを採用。
これらの制御がドライバビリティ向上に寄与し、運転の楽しさをさらに引き上げています。
つまり新型ソルテラは、見た目以上に中身が劇的に変わった一台。“EVの本気進化”を象徴するモデルといっても過言ではないでしょう。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

























































































