ガソリンスタンドで「給油できない」理由とは? 規制強化の背景と“どうしても入れたい時”に守るべきポイントに注目! 秋のドライブ前に確認したい「必須ルール」って?
涼しい風が心地よく、紅葉ドライブが待ち遠しい季節になりました。出発前にガソリンを入れて準備を整える人も多いと思いますが、セルフ式ガソリンスタンドでは「携行缶への給油」が禁止されていることをご存じでしょうか。本記事では、その背景にある安全上の理由や最新のルールをわかりやすく解説します。
セルフスタンドで「携行缶に給油できない」理由とは?
涼しい風が心地よく感じられる10月。紅葉シーズンを前に、愛車でのドライブを計画している人も多いのではないでしょうか。
秋の行楽に向けて燃料を満タンにしておきたいところですが、ガソリンを携行缶に詰めて持ち運ぶことについては注意が必要です。

セルフ式ガソリンスタンドでは、ドライバーが自らクルマに給油できますが、携行缶への給油は固く禁じられています。
かつては自由にポリタンクなどへガソリンを入れることができましたが、現在ではそのような行為は法律で厳しく制限されているのです。
セルフスタンドで給油が認められているのは、ナンバープレートが付いた自動車と二輪車のみで、農業用機械や発電機などに使うための携行缶には給油できません。
これには、ガソリンの性質と過去に起きた重大な事件が深く関係しています。
ガソリンは「危険物第4類第1石油類」に分類される非常に揮発性の高い液体です。
マイナス40度という低温でも気化するほど蒸気を発しやすく、少し離れた場所にあるライターの火や静電気でも引火・爆発の危険があります。
そのため、取り扱いには細心の注意が求められます。
2019年7月、京都市伏見区で発生した爆発火災では、多数の死傷者を出す痛ましい事件となりました。
現場からはガソリンの携行缶が見つかり、この出来事をきっかけにガソリン販売に関する法規制が一気に強化されました。
2020年2月には改正消防法が施行され、ガソリンを容器に詰め替えて販売する場合、購入者の本人確認(免許証やマイナンバーカードの提示)、使用目的の確認、販売記録の作成が義務化されました。
また、ガソリンを入れる容器にも厳しい基準があります。灯油用のポリタンクでの給油は禁止されており、消防法に基づく性能試験に合格した22リットル以下の金属製容器、または10リットル以下の樹脂製容器に限られています。
これらには「試験確認済証」のラベルが貼付されており、安全性を確保するための証明となります。
さらに、一般的な乗用車で運搬できるガソリンの量は22リットル以下と定められており、1つのスタンドが1日に携行缶で販売できるガソリン量は200リットル未満という制限もあります。
こうした背景から、携行缶での販売をやめるガソリンスタンドも少なくありません。安全管理の手間やトラブル防止の観点から、店舗独自の判断で「携行缶への販売は対応していません」としているケースが多いのです。
そのため、もし農作業機器や発電機などでガソリンを必要とする場合は、事前に店舗へ問い合わせることが不可欠です。
また、セルフ式スタンドでは、たとえ安全規格を満たした容器を持参したとしても、自分で給油することはできません。
必ず従業員を呼び、スタッフ立ち会いのもとで給油を行う必要があります。セルフ給油機のノズルを携行缶に差し込んだり、勝手に操作したりすると、重大な事故につながるおそれがあるため絶対に避けましょう。
さらにガソリンを携行缶で購入したあとの保管にも注意が必要です。ガソリンは長期保存に向いていないため、なるべく早めに使い切ることが基本です。
直射日光が当たらず、風通しのよい涼しい場所に置き、火気や電気製品の近くには絶対に置かないようにしましょう。
不要になった携行缶の処分は、ガソリンスタンドや自治体指定の処理業者に相談するのが安全です。
昔は「空いたポリタンクに少しだけガソリンを入れておく」ということもできましたが、現在ではそれは完全に“アウト”です。
安全を守るためのルールが年々強化されており、ドライバーひとりひとりが正しい知識を持つことが求められています。
便利さと安全は常に表裏一体です。ドライブが楽しい季節だからこそ、ガソリンスタンドでのルールを正しく理解し、事故のないカーライフを心がけたいものです。
Writer: くるまのニュース編集部
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