日野・ふそう、統合新社の社名は「ARCHION」 国内生産拠点5か所を3か所に集約!? 未来の商用車はどう変わる? 2026年4月始動へ

日本のトラック業界に巨大な新企業が誕生します。日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは2025年10月9日、経営統合によって設立する新持株会社の社名を「ARCHION(アーチオン)株式会社」とすることを正式に発表しました。2026年4月の事業開始を予定しており、ダイムラートラック、トヨタ自動車も巻き込んだこの一大プロジェクトは、日本の、そして世界の物流の未来を大きく変える可能性を秘めています。その詳細な計画と目指す姿に迫ります。

日本の商用車業界に激震!新会社「ARCHION」が始動へ

 日本の物流を支えてきた2つの大きな名前、日野自動車(以下、日野)と三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)が、ついに一つの旗の下に集うことになります。

 両社は2025年10月9日、2026年4月1日に事業開始を予定している新しい持株会社の社名が「ARCHION(アーチオン)株式会社」に決定したことを明らかにしました。

日本の商用車業界に激震!新会社「ARCHION」が始動へ(画像は前回の会見時の様子)
日本の商用車業界に激震!新会社「ARCHION」が始動へ(画像は前回の会見時の様子)

 この新社名「ARCHION」は、弓型の構造物を指す「ARCH」と、永遠を意味する「EON(ION)」を組み合わせた造語です。

 これには、企業と顧客、そして統合する日野と三菱ふそうとの間の固い絆を象徴し、輸送の未来を創造してより良い社会を次世代へと引き継いでいくという強い意志が込められています。

 新会社の本社は東京都品川区に置かれ 、ダイムラートラックとトヨタ自動車(以下、トヨタ)がそれぞれ25%ずつの株式を保有する方針です。将来的には東京証券取引所のプライム市場への上場も視野に入れています。

 この経営統合は、単に2社が合併するという以上の意味を持ちます。ARCHIONは日野と三菱ふそうの株式を100%保有する持株会社となり 、両社はARCHIONグループの事業会社としてそれぞれのブランドを維持しつつ、強力な連携体制を築いていくことになります。

 ダイムラートラック、三菱ふそう、日野、トヨタの4社が共通して掲げる「モビリティを通じて豊かな社会に貢献する」という理念を、ARCHIONが中心となって具現化していく形です。

●強力な布陣で挑む経営陣、各社のキーマンが集結

 ARCHIONの経営の舵取りを担う経営陣には、各社を代表する強力なメンバーが名を連ねました。

 代表取締役・最高経営責任者(CEO)には、現・三菱ふそう社長CEOのカール・デッペン氏が就任する予定です。デッペン氏は、「ARCHIONを通じて、アジアにおける商用車のリーディングカンパニーとなり、業界の変革を推進する」と力強くコメントしています。

 財務のトップである代表取締役・最高財務責任者(CFO)には、同じく三菱ふそうでCFOを務めるヘタル・ラリギ氏が指名されました。ラリギ氏は、「財務のレジリエンスとパフォーマンスを業界のベンチマーク水準へと引き上げる」ことを目標に掲げ、統合によるシナジーを最大限に引き出す戦略を描いています。

 そして、技術開発の要となる取締役・最高技術責任者(CTO)には、現・日野の代表取締役社長である小木曽聡氏が就任します。

 小木曽氏は、「お客様を起点に物事を考え、4社の力を合わせてCASE技術の開発を加速させ、商用車の未来をともに作る」と、顧客視点と技術革新への意欲を語りました。

 このほか、住友理工株式会社の社外取締役である伊勢清貴氏と、ダイムラートラックのバイスプレジデントであるクリスチャン・ヘルマン氏が非常勤の取締役に指名されており 、グローバルで多様な知見が経営に活かされる体制が整えられます。これらの人事は、必要な承認等を経て、2026年4月1日の事業開始とともに正式に発効する予定です。

●統合の核心「統合プラットフォーム戦略」と生産拠点の再編

 ARCHIONグループが競争力を高めるための主要戦略として掲げているのが、「統合プラットフォーム戦略」です。

 これは、大型、中型、小型トラックの基盤となる車台(プラットフォーム)を統合し、両社の優れた技術やノウハウを結集させることで、製品の魅力を向上させると同時にコスト効率を大幅に高めることを狙いとしています。

 具体的には、開発、調達、生産、物流といった各機能の強みを持ち寄り、最適化を進めます。

 開発面では重複する投資をなくし、資源を効率的に配分することで、プラットフォームの統合を迅速に進め、将来の技術革新に向けた強固な基盤を築きます。

 調達面では、購買機能を一つにまとめることでスケールメリットを最大化し、大幅なコスト削減を目指す計画です。

 そして、この戦略を支えるために、国内の生産体制にも大きなメスが入ります。

 現在、両社が持つ国内5か所のトラック生産拠点を、2028年末までに3か所へ集約することが発表されました。

 集約後の拠点は、三菱ふそうの川崎製作所(神奈川県川崎市)、日野の古河工場(茨城県古河市)、新田工場(群馬県太田市)となります。

 この再編に伴い、三菱ふそうの中津工場の生産は川崎製作所に集約される予定です。

 なお、日野の羽村工場については、すでに発表の通りトヨタへ移管されます。この生産ネットワークの最適化により、コスト、品質、納期のすべてにおいて改善を図るとしています。

●CASE技術で未来を拓く、水素分野での強力な連携

 今回の経営統合で生み出された経営資源は、未来のモビリティ社会を実現するための「CASE(ケース)」技術開発へ重点的に振り向けられます。

 特に注目されるのが、カーボンニュートラルに向けた電動化戦略です。トヨタ、ダイムラートラックを含む4社の技術力とスケールメリットを最大限に活用し、あらゆるセグメントで市場をリードする電動車両の開発を目指します。

 中でも水素領域では、この協業体制が大きな強みとなります。世界の商用車をリードするダイムラートラックと、乗用車で先進的な燃料電池技術を持つトヨタが協業することで、世界トップレベルの燃料電池システムを開発し、その普及を強力に推進していく方針です。

 もちろん、自動運転やコネクテッド技術の開発も加速させます 。車両から得られるデータを効果的に活用し、より顧客のビジネスに貢献する高度なソリューションを提供していくことも、ARCHIONグループの重要な使命となります。

 日野と三菱ふそうは、これらのシナジーを基盤としながらも、それぞれのブランドは市場で互いに切磋琢磨し、価値を高め合っていくとしています。

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Writer: くるまのニュース編集部

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