「オービス」じゃない!? 道路の上の「謎カメラ」は何? もしかして「監視」されてる? 速度違反じゃなくても“撮られてる”「Nシステム」の正体とは
高速道路などを走行中、カメラのような装置を見つけ、「もしかしてオービス!?」と慌てたことはないでしょうか。しかし、見た目が速度取締り器そっくりな「Nシステム」という装置も存在します。一体何のために設置されているのでしょうか。
似て非なる「オービス」と「Nシステム」の違いとは
道路の上にあるカメラを見かけると、多くのドライバーは速度違反を取り締まる「オービス」を思い浮かべるはず。
しかし見た目は似ていても、目的も機能もまったく異なる「Nシステム」という装置も存在しています。

まず、私たちドライバーに馴染み深い「オービス」についてです。
オービスの正式名称は「自動速度違反取締装置」。その目的は交通違反、特に重大事故に直結する速度超過を自動で取り締まり、交通安全を守ることにあります。
一般道では制限速度30キロ以上、高速道路では時速40キロ以上の超過といった、いわゆる“一発免停”レベルの速度超過が作動の目安だといわれています。
ただし近年増えている生活道路などに設置される移動式オービスでは、より低い速度超過でも作動する場合があるようです。
そしてオービスの最も特徴的な動作が、違反車両を撮影する際に、昼夜を問わず認識できる赤や白の強烈な光を発することでしょう。
さらにその手前には、多くの場合「自動速度取締機設置区間」といった予告看板が設置されているのも特徴です。
一方、見た目がそっくりな「Nシステム」の目的は、速度違反の取り締まりではありません。
Nシステムの“N”はナンバー(Number)の頭文字で、正式名称は「自動車ナンバー自動読取装置」。その唯一の任務は、盗難車や犯罪に使われた車両などを発見・追跡する“犯罪捜査”です。
そのため、Nシステムには速度を計測する機能はありません。
代わりに、通過するすべての車両のナンバープレートを24時間365日、自動で読み取り、手配車両のデータと照合し続けています。まさに“無人の検問所”といえる存在です。
オービスとの決定的な違いは、その撮影方法にあります。
Nシステムは赤外線カメラと赤外線ストロボを使用しており、ドライバーが気づかないうちに撮影を完了します。肉眼で見えるような光は一切発しません。また、犯罪捜査という目的上、オービスのような予告看板も設置されていません。
では、このふたつをどうやって見分ければいいのでしょうか。
最も確実な方法は、「予告看板の有無」です。速度取締機の設置を示す看板があれば、その先にあるのはオービスです。なければ、Nシステムの可能性が高いといえます。
またオービスの多くは、カメラの近くに赤色回転灯の入った箱が設置されていたり、手前の路面に速度計測のための白い線が引かれていたりします。これらも見分ける際の有力な手がかりです。
さらに話は少し複雑になります。
実は、ほかにも「Tシステム」という第三の装置も存在します。
これは交通渋滞の情報などを提供するために、道路上の2点間をクルマが通過する時間を計測するシステムです。
しかしこのTシステムもナンバープレートを読み取っており、そのデータがNシステムの犯罪捜査網に提供されていることが警察の通達で示唆されています。
つまり交通情報を提供しながら、その裏では捜査にも協力しているというグレーな存在とされています。
※ ※ ※
オービスは速度違反をしなければ作動しません。
しかしNシステムやTシステムは、例外なくすべての車両を記録しています。
これらの違いを理解したうえで、私たちドライバーが取るべき最も確実な自衛策は、やはり常に制限速度を守り、交通法規を遵守することに尽きるといえるでしょう。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。
























