スズキの斬新「“SUV”軽トラ」に注目! “精悍”ドアדタフ”なアシで「ジムニー」超えの“スーパー”キャリイ!? 超カッコいい“ゴツゴツ”コンセプト「マウンテントレイル」の正体とは

2024年の「東京オートサロン」で話題を集めたスズキ「スーパーキャリイ マウンテントレイル」。まるでジムニーのようなこの軽トラカスタムには、いったいどのような狙いがあったのでしょうか。

「本気の遊び」と「筋トレ」が融合した究極の道具

 2024年のカスタムカーイベント「東京オートサロン」で披露された「スーパーキャリイ マウンテントレイル」は、軽トラックをベースにオフロードの世界観を融合させた異色のコンセプトモデルです。

 ベースはスズキの軽商用車「スーパーキャリイ」。それを大胆にカスタムし、“アゲトラ”=車高を上げた軽トラという草の根カスタム文化の潮流を汲みながら、「遊びの道具」としての提案を極限まで突き詰めた1台です。

もはや「ジムニー」超え!? スズキ「マウンテントレイル」の正体とは!?
もはや「ジムニー」超え!? スズキ「マウンテントレイル」の正体とは!?

 スーパーキャリイ マウンテントレイルは、軽自動車規格内に収めながらも、ルーフから荷台まで貫くロールケージ、パイプドア、フロントウインチなど、並々ならぬ装備を誇ります。

 特筆すべきはこのウインチ装着のために、荷台後端を大胆にカットしている点です。

 これは軽規格を維持しつつ、機能性とデザイン性を両立する工夫であり、コンセプトモデルながらも本気度の高さがうかがえるポイントです。

 さらに、エアコンやオーディオ、内張りなどの快適装備を全撤去し、専用バケットシート、キルスイッチ、防水仕様のタブレットホルダーなどを配置。

 まさに“道具としての軽トラ”の極致がここにあります。

 足回りには社外リフトアップキットとヨコハマ製「ジオランダーM/T」(165/65R14)を装着し、見た目だけでなく走行性能も意識された構成です。

 注目すべき裏話として、開発デザイナーが「筋トレマシンのような見た目を目指した」と語っている点が挙げられます。

 これは見る者に“ストイックでタフ”な印象を与える外観づくりを狙ったもので、軽トラでありながらも無骨で力強いキャラクターを表現するユニークな発想です。こうした遊び心がデザインの根底にあることも、本モデルの魅力を際立たせる要素といえるでしょう。

 SNSでは「ジムニーよりこっちが欲しい!」「このまま売ってくれ」「積載できるジムニー」といった声が相次ぎ、アウトドア層や軽トラファンを中心に大きな話題となりました。

 その反響を受けて、市販化を求める声も多数寄せられましたが、スズキは「公道走行不可の展示用モデル」と明言。パイプドアによる側面衝突非対応やエアバッグ非装備、歩行者保護基準の不適合など、安全・法規面の壁があることが主な理由でした。

 ただし、このスーパーキャリイ マウンテントレイルの発表と同時期に登場したのが、実用性とスタイルを両立した特別仕様車「スーパーキャリイ Xリミテッド」です。

 こちらはブラック塗装のホイール&グリル、ダークメッキバンパーガーニッシュなどを採用し、“マウンテントレイルのエッセンス”を市販車として反映したかのような仕様となっています。

 スーパーキャリイ マウンテントレイルが直接的に商品化される可能性は低くとも、量産車への思想的なフィードバックはすでに始まっているのかもしれません。

※ ※ ※

「積めるジムニー」を求める声に応えたスーパーキャリイ マウンテントレイルの姿は、市販化されずとも今後の軽トラックのあり方に一石を投じたことは間違いありません。

 今後は、オプションパーツの展開や限定モデルへの発展が期待される中、この1台の“遊びと本気”の融合は、クルマ好きにとって記憶に残るモデルとなるはずです。

 今秋開催の「ジャパンモビリティショー2025」や、年明け2026年1月開催の「東京オートサロン2026」でも、こうした楽しい軽トラコンセプトが再び登場することを大いに期待しましょう。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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