スズキ「新型アルト“ワークス”」登場!? 超パワフル「660ccターボエンジン」の“爆速軽セダン”復活に期待! スズキの超・高性能「軽ホットハッチ」 ライバル出現で奇跡の再登場なるか
ダイハツが高性能な軽ターボモデル「ミライース GRスポーツ」を参考出品するなか、SNSなどではスズキ「アルトワークス」復活に対し期待が高まっています。果たしてライバル車の再登場はあるのでしょうか。
「速さ」と「楽しさ」を追求した小さな巨人
かつて軽自動車の性能競争をリードし、多くのファンを熱狂させたスズキ「アルトワークス」。
なぜこの伝説的なモデルは生産終了となったのか、そして復活を望む声が絶えない中、その未来はどうなるのでしょうか。

アルトワークスは、手頃な価格で本格的な走りを楽しめる「軽ホットハッチ」というジャンルを確立した、日本の自動車文化における象徴的な一台です。
その歴史は、軽自動車の技術革新とライバルとの熾烈な性能競争の物語でもあります。
伝説は1987年、初代アルトワークスの登場と共に始まりました。
軽自動車で初めてDOHCターボエンジンを搭載し、当時の自主規制上限となる64馬力を達成。この一台が、その後の軽自動車業界を長きにわたって規定する「64馬力自主規制」という不文律を生み出すきっかけとなりました。
その後も、丸目2灯ヘッドランプという象徴的なデザインを確立した2代目、後に伝説となるオールアルミ製エンジン「K6A」を搭載し「史上最強」と称された3代目と進化を遂げ、アマチュアモータースポーツシーンを席巻しました。
しかし市場のトレンドが「ワゴンR」に代表されるハイトワゴンへと移行する中、4代目は苦戦を強いられ、2000年にその名は一度途絶えます。
そして15年後の2015年、ファンからの「マニュアル(MT)仕様が欲しい」という熱い要望に応える形で、8代目アルトをベースに劇的な復活を遂げました。
この最終モデル(HA36S型)は、まさにファンが求めた一台でした。全長3395mm×全幅1475mm×全高1500mmのコンパクトなボディに、カーボン調ガーニッシュやブラックメッキヘッドランプで精悍さを増したエクステリア。内装には専用開発のレカロ製シートや本革巻きステアリングがおごられました。
パワートレインは、最大トルクを100N・mに高めた専用チューンの「R06A」型ターボエンジンと、専用開発されたショートストロークの5速MTが組み合わされ、車両重量はわずか670kg(2WD・5MT)という驚異的な軽さを実現。
そして価格は、発売当時150万9840円から(消費税込み)と、非常に手の届きやすいものでした。
この傑作も、2021年にベースモデルの生産終了と共に再びラインナップから姿を消します。
では、なぜ現行の9代目アルトに“ワークス”は設定されないのでしょうか。
最大の理由は、現行アルトが燃費性能を最優先し、マイルドハイブリッドとCVTに特化して設計されたプラットフォームであるためでしょう。MTを搭載するワークスの開発は、コスト的にも優先順位的にも困難だったのではと考えられます。
年々厳しくなる燃費基準や安全装備の標準化といった規制の強化も、手頃な価格のパフォーマンスモデルの存続を難しくしていることでしょう。
それでもSNS上では復活を望む声が絶えず、根強いファンが存在し続けていることがわかります。
※ ※ ※
復活への道は閉ざされたかに見えましたが、一条の光も存在します。
ライバルのダイハツが、2025年1月の「東京オートサロン2025」で「ミライース GR SPORT コンセプト」を発表し、市場に刺激を与えたこと。そして何より、スズキ自身が2024年7月の「技術戦略説明会」で、次期アルトで「100kgの軽量化に挑戦する」という目標を掲げたことです。
もしこの抜本的な軽量化が実現すれば、燃費性能と運動性能は飛躍的に向上し、厳しい規制をクリアしつつ、再び「ワークス」の名を冠するパフォーマンスモデルが生まれる土壌が整うかもしれません。
伝説の復活は、次なる技術革新の時を待っているのです。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。














































