フェラーリは2025年9月9日、V8エンジンをベースとしたプラグインハイブリッドシステム搭載の新型スーパースポーツ「849テスタロッサ」を発表しました。

　テスタロッサという名は、フェラーリ史において特別な意味を持っています。1950年代に活躍したレーシングカーで用いられた呼称で、真紅に塗られたカムカバーに由来します。

　特にその名を世界中に知らしめたのが、1984年にデビューしたV12気筒ミッドシップの「テスタロッサ」です。ワイド&ローのフォルムに加え、サイドに深く刻まれた水平基調のフィンが特徴的で、80年代を代表するスーパースポーツのアイコンとして高い人気を博しました。

　そうした華々しい歴史を踏まえて、PHEV（プラグインハイブリッド車）「SF90ストラダーレ」の後継モデルとして登場したのが今回849テスタロッサです。849は「8気筒で、1気筒あたり499cc」を意味します。

　パワートレインは、V型8気筒エンジンに3基のモーターを組み合わせた最新鋭のプラグインハイブリッドシステム。駆動方式は4WDで、前輪にモーターを配置することで路面状況を問わず優れたトラクション性能を発揮します。

　システム全体の最高出力は1050馬力、0-100km／h加速は2.3秒、最高速度は330km／hをマークします。

　ボディサイズは全長4718mm×全幅2304mm×全高1225mm、ホイールベース2650mm。乾燥重量は1570kgです。

　エクステリアは、1970年代のスポーツプロトタイプから着想を得ながら、現代的なエアロダイナミクスを融合させ、タイムレスなデザインを生み出しています。

　特にヘッドライトとそれをつなぐガーニッシュを黒色で統一させたフロントデザインは、スペシャルモデルの最新作「F80」に通じるもの。

　一方、リアフェンダーから伸びるように突き出たスポイラーが新たな個性を生み出し、抑揚の効いたボディラインと融合することで、スタイル面でも強烈な印象を残す仕上がりとなっています。

　コックピットは、ドライバーを囲むようにしながら浮遊感を演出。デジタルとアナログが融合しており、中央の金属プレートは、往年のシフトゲートを彷彿とさせ、伝統へのオマージュを感じさせます。

　フェラーリは新型849テスタロッサを「伝統と未来を結ぶモデル」と位置づけています。真紅のカムカバーに始まったその名が、電動化時代に合わせて復活し、新たなテスタロッサとして受け継がれることになりました。