白タクが観光バスと正面衝突!? 警察がパキスタン人の男を逮捕!横行する「白タク行為」の問題、元警察官が解説

富士スバルラインで白タクの乗用車が観光バスと衝突し、6人が重傷。パキスタン国籍の男を逮捕。白タクは無許可営業で全国で横行し、安さや言語の利便性から利用されるが、検挙が難しく重大事故のリスクも。取り締まり強化が求められます。

一体なぜ白タク行為は横行するのか?運賃の「安さ」から利用する観光客も

 今年6月に富士スバルラインで発生した乗用車と大型観光バスの正面衝突事故について、警察は乗用車を運転していたパキスタン国籍の男を「白タク」営業の疑いで逮捕しました。

 白タク行為は全国の空港や観光地などで横行していますが、一体どのような問題があるのでしょうか。

外国人による白タク行為が横行している…どんな問題がある?(画像はイメージ/フォトAC)
外国人による白タク行為が横行している…どんな問題がある?(画像はイメージ/フォトAC)

 今年6月、富士山の5合目と山梨県河口湖までを結ぶ有料道路・富士スバルラインにおいて乗用車と大型観光バスが正面衝突する事故が発生し、乗用車に乗っていたアメリカからの観光客など男女6人が足の骨を折るといった重傷を負いました。

 事故について警察は、乗用車がセンターラインをはみ出して衝突したとみて捜査をしていましたが、その後の調べで、乗用車の運転手が営業許可を取らずに客を有料で送迎する「白タク」営業をおこなっていたことが判明しました。

 これを受けて警察は9月2日、乗用車を運転していた茨城県結城市在住のパキスタン国籍の男を道路運送法違反と自動車運転処罰法違反(過失運転傷害)の疑いで逮捕しています。

 そもそもタクシーや路線バスなどのように、お金をもらって一般客を運送する事業をおこなう場合、道路運送法に基づいて事業計画や運行計画を定めた上で国土交通大臣の許可を受けなければなりません。

 そのため、国土交通大臣から営業許可を受けていない白タク行為は道路運送法違反に当たり、違反行為をすれば3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または両方の罰則を科される可能性があります。

 なお、通常は許可を得て営業しているタクシーのナンバープレートが緑色であるのに対し、営業許可を得ていない自動車のナンバープレートは一般車両と同じ白色であることから、「白タク」と呼ばれるようになりました。

 しかし上記のような罰則があるにもかかわらず、全国の空港や港湾、観光地などでは外国人観光客を対象とした白タク行為が後を絶ちません。

 たとえば今年8月には和歌山港近くの路上において、クルーズ船に乗ってやってきた台湾人観光客を自家用車に乗せて運賃を受け取ろうとしたとして、大阪市中央区に住む台湾籍の男が逮捕されました。

 この男は観光客とSNSで事前にやりとりをして、和歌山港から大阪・ミナミまで往復する運賃として3万5000円を受け取る予定だったということです。

 さらに同月には、熊本県八代市にあるくまモンポート八代(国際クルーズ船の受け入れ拠点)付近で白バス行為をしたとして、福岡県福岡市に住む自称・バス運転手の中国籍の男が現行犯逮捕されています。

 このような白タク行為が横行する理由としては、「現地のタクシーを利用するより安い」「母国語が堪能でコミュニケーションを取りやすい」といった点が挙げられます。

 また白タク行為を検挙するためには運転手と客との間で金銭のやりとりをしていたという証拠を押さえる必要があり、検挙のハードルが高いために摘発が追いついていない状況もあるとみられます。

 実際のところ、警察が白タク行為を見つけて声をかけた際に、運転手が「友達・家族を迎えに来ただけ」「お金はもらっていない」などと言い訳するケースも少なくありません。

 加えて、客側も相場より安くサービスを利用できるというメリットから警察に通報しないため、違法行為をおこなっているドライバーを特定しづらい現状があるといえるでしょう。

 白タク行為が広まると、タクシーや路線バスなど地元事業者の仕事が奪われるだけでなく、今回の事例のように重大事故につながる可能性があります。

 客を乗せるタクシーやバスを運転する際には一般的な運転免許よりも高度な知識・運転技術が求められる「第二種免許」の取得が必須ですが、基本的に白タク・白バスのドライバーは第二種免許を取得しないで客を運送するため注意が必要です。

※ ※ ※

 インターネット上では今回の事案に対して「いくら安く乗れたとしても、決して安心して乗れるタクシーとは言えません」といった声のほか、「日本警察も外国人犯罪に厳しく毅然とした対応を取らないと抑止に繋がらないと思いますね」など、取り締まりの強化を望む声が寄せられています。

 現在は白タク行為の検挙ハードルが高いため、今後は実効性のある取り締まりができるよう関係法令や仕組みの改正が求められるといえるでしょう。

【画像】白タクはダメ! 二種免が必要! これが「最強免許」です(21枚)

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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