横断歩道を渡っていた女子中学生、「停車中の車を追い抜いた車」に跳ねられる! 横断歩道付近で気をつけるべきコトとは

2025年8月28日の午後3時前、山形県酒田市亀ヶ崎にある信号機のない十字路交差点において、横断歩道を渡っていた中学3年生の女子生徒が軽乗用車にはねられる事故が発生しました。横断歩道付近ではどのような点に気をつけて運転すべきなのでしょうか。

過失運転致傷から危険運転に! 一体何があったのか?

 山形県酒田市において、横断歩道を渡っていた女子中学生が「停車中のクルマを追い抜いたクルマ」にはねられる事故が発生しました。

 では、横断歩道付近ではどのような点に気をつけて運転すべきなのでしょうか。

信号機のない十字路交差点で「停車中のクルマを追い抜いたクルマ」にはねられる事故が発生(画像はイメージ/フォトAC)
信号機のない十字路交差点で「停車中のクルマを追い抜いたクルマ」にはねられる事故が発生(画像はイメージ/フォトAC)

 今年8月28日の午後3時前、山形県酒田市亀ヶ崎にある信号機のない十字路交差点において、横断歩道を渡っていた中学3年生の女子生徒が軽乗用車にはねられる事故が発生しました。

 事故当時、交差点では横断歩道を渡ろうとした女子生徒のために、1台のクルマが横断歩道の手前で停車していましたが、そのクルマを別の軽乗用車が後ろから追い抜いて前に出た際に女子生徒に衝突したということです。

 この事故で女子生徒は10数メートル先まで飛ばされ、頭などを強く打って意識不明の重体となりました。

 なお、現在も被害に遭われた女子中学生の容体は変わらず、意識不明だといいます。

 警察は軽乗用車を運転していた62歳の医療法人職員の男を自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕。男は容疑を認めています。

 さらに警察は翌29日、男の容疑を「危険運転致傷罪」に切り替えて書類送検しました。

 警察は危険運転致傷罪に切り替えた理由について、「容疑者の運転が危険運転に当たると判断したため」と説明しています。

 なお過失運転致死傷罪は前方不注意や脇見運転など、自動車の運転上必要な注意を怠って人を死傷させることをいい、「7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」という罰則があります。

 その一方で「危険運転致死傷罪」は飲酒運転や進行を制御することが困難な高速度で走行するなど、正常な運転が難しい状態で自動車を運転して人を死傷させた場合に適用されるものです。

 人が死亡した場合は「1年以上20年以下の拘禁刑」、人が負傷した場合は「15年以下の拘禁刑」という罰則がそれぞれ設けられており、過失運転致死傷罪よりも悪質性が高いぶん、重い刑罰が科されます。

 この事故に対してインターネット上では「あまりにも短絡的で自己中心的な運転をした結果の事故だと思います」「普通に走っている前車が突然停車する。多くの人は前車が停まることに理由があると考えて自車も停車する。しかし、この手の事故を起こす人は想像力が無く『抜かすチャンス』程度にしか考えない」など、加害者の運転を厳しく批判する声が寄せられています。

 加えて「歩行者を渡らせるために横断歩道の手前で止まっていたら、後続車に追い越されたことある!」「動画サイトやSNSでも、横断歩道の歩行者に進路を譲るために停車していたクルマを追い越して、歩行者を危険な目に遭わせるドライバーの動画は珍しくない」といった声が上がっています。たまたま事故に至っていないだけで、同様の事例は全国で発生しているといえるでしょう。

 実は道路交通法第38条第3項の規定により、基本的に車両は横断歩道・自転車横断帯および、その手前の側端から30メートル以内では、前方を進行している他の車両を追い抜いたり、追い越したりすることが禁止されています。

 横断歩道付近でクルマを追い抜くと、今回の事故のように横断歩道を渡っている歩行者と衝突する危険があるため、このようなルールが設けられています。

 このルールに従わなかった場合は「横断歩行者等妨害等違反」に当たり、検挙されれば違反点数2点のほか普通車で反則金9000円が科されます。

 横断歩道や自転車横断帯の手前で停止しているクルマがあれば、「前方に渡ろうとしている歩行者・自転車がいるかもしれない」と考え、慎重な運転を心がけることが重要です。

※ ※ ※

 道路交通法第38条第1項により、車両が横断歩道や自転車横断帯に接近する際は、渡ろうとする歩行者や自転車がいないことが明らかな場合をのぞき、横断歩道等の直前で停止できるような速度で進行しなければなりません。

 さらに横断歩道等を横断中、または横断しようとする歩行者や自転車がいる場合には、横断歩道等の直前で一時停止し、なおかつ歩行者や自転車の通行を妨げないようにする必要があります。

 今回のような痛ましい事故が発生しないよう、各ドライバーが横断歩道付近での運転方法を改めて確認しておくべきといえるでしょう。

【画像】これを見て! 横断歩道にある「ひし形マーク」 画像で見る(23枚)

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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