新名神逆走のペルー人の男に懲役3年求刑「飲酒運転が警察に見つかるのが怖くて逃げた」と供述… 元警察官が解説

今年5月、三重県の新名神高速道路を逆走して周囲の車両の通行を妨害し、計6人にケガをさせたとしてペルー国籍の男が逮捕されました。この事案について、先日おこなわれた初公判では検察が懲役3年を求刑しています。

ネット上では「極めて甘い求刑」「執行猶予が付いて加害者が自由になるのでは」などの声も!

 2025年5月、三重県の新名神高速道路においてペルー国籍の男が乗用車で逆走し、周囲のクルマの通行を妨害して事故を起こさせた上、計6人にケガを負わせたにもかかわらず救護することなく逃走するという事案が発生しました。

 この事案について、先日おこなわれた初公判では検察が懲役3年を求刑しています。

新名神逆走のペルー人の男に懲役3年求刑、どんな事件だった?(画像はイメージ/フォトAC)
新名神逆走のペルー人の男に懲役3年求刑、どんな事件だった?(画像はイメージ/フォトAC)

 このペルー国籍の男は5月18日、名古屋市内において酒を飲んだ状態でクルマを運転した後、新名神高速道路の下り線で逆走を続けて事故を引き起こしており、現在は自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道路交通法違反(酒気帯び運転など)の罪に問われています。

 この男の初公判が8月26日、三重県津地裁でおこなわれ、被告は起訴内容について「間違いありません」と認めました。

 冒頭陳述で検察は、「被告は名古屋市内で飲酒した後、三重県四日市方面に向けてクルマの運転を開始した。鈴鹿トンネルを越えた先で外壁にクルマが接触し、回転するなどして逆走状態におちいった」と指摘。

 さらに「その後被告は一時停止したものの、覆面パトカーに気づき、パトカーから逃げるために逆走を再開した」などと、事案の詳しい状況を説明しました。

 続いておこなわれた被告人質問で被告は、「パニックになっていた。飲酒運転が警察に見つかるのが怖くて逃げた」と話しました。

 公判の最後で検察は「被告は6人にケガをさせて逃走しており、危険な運転だということを認識していた。身勝手で自己中心的な犯行で規範意識が著しく低い」などとして懲役3年を求刑しました。

 その一方、弁護側は「被告はルールを破ったことを反省して自ら出頭した」などとして、執行猶予付きの判決を求めています。なお判決は今年10月8日に言い渡されるということです。

 このニュースに対してインターネット上では「飲酒運転、スピード超過、逆走、被害者6人、警察からの逃亡。これで3年とか違和感」「極めて甘い求刑ですね」「結局執行猶予が付いて、加害者が自由になるのでは」など、懲役3年という求刑が軽すぎるという意見が多く寄せられています。

 さらに加害者の男は、外国の運転免許証を日本の運転免許証に切り替える、いわゆる「外免切替」によって運転免許を取得していたことが明らかになっており、外免切替のあり方についても批判が集まっています。

 そもそも、外国人が日本で車両を運転するためには次のいずれかの運転免許証を所持していなければなりません。

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1 日本の運転免許証
2 ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証
  アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダなどが対象
3 日本と同等レベルの免許制度を有している国または地域の免許証(大使館や領事館などが作成した日本語の翻訳文が添付されているものに限る)
スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、台湾などが対象
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 しかし上記2や3の運転免許証の場合、「日本に上陸した日から1年間」または「当該免許証の有効期間」のいずれか短い期間までしか運転ができません。

 加えて、上記2や3に該当しない国・地域の外国人は日本の運転免許証を取得する必要があります。

 このような事情から外免切替をおこなう外国人は年々増加傾向にあり、2024年中に外免切替によって日本の運転免許証を取得した外国人は6万8623人にも上ります。

 また外免切替の手続きは原則として書類審査→適性試験→知識確認→技能確認→免許証交付という流れでおこなわれ、日本の交通ルールを問う知識確認に合格すれば、運転技能をチェックする技能確認に進めるという仕組みです。

 この手続きが今、「外国人優遇である」「外国人が簡単に日本の運転免許証を取得できてしまう」などと指摘されています。

 たとえば上記の書類審査に関して、現行の制度では旅券(パスポート)と一時滞在証明書という書類を提出すれば、短期滞在の観光客であっても申請できてしまう状況です。

 そのため、一時滞在先のホテルを住所地として日本の運転免許証を取得する外国人が後を絶ちません。

 加えて知識確認の試験では、問題が○×形式でわずか10問しか出題されない上、7問以上正解で合格できるという緩さです。

 日本人が初めて普通免許を取得する際には学科試験の出題数が95問で、90%以上の正答率が求められることを考えると、いかに難易度が低いか分かるといえるでしょう。

 今回の事故だけでなく、今年5月に埼玉県三郷市で発生した小学生4人のひき逃げ事件についても、クルマを運転していた中国籍の男が「外免切替」によって運転免許を取得していたことが判明しています。

 このような外免切替者による重大事故の発生や批判を受け、警察庁は今後外国人観光客を外免切替の対象外とし、知識確認の問題数を50問に増やすなど手続きの厳格化を図る方針を明らかにしています。

 この新しい外免切替制度は今年10月1日から運用が開始される予定です。

※ ※ ※

 新名神高速道路で発生したペルー国籍の男による逆走事故は、一歩間違えれば人が亡くなっていてもおかしくない状況でした。

 飲酒運転や警察からの逃走など悪質性も高く、今後どのような判決が下されるのか、その動向に注目が集まっています。

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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