トヨタの「モビリタ」って知ってる? 安全運転を「楽しく学べる」施設があった! 自分のクルマで“横滑り体験”もできる!? 公道では絶対試せない「超絶シチュエーション」を体験
滑りやすい「低ミュー路」に挑戦! “回避操作”のむずかしさを実感
今回、編集部ではモビリタの低ミュー路を使い、滑りやすい路面での走行を体験することができました。
低ミュー路の「ミュー(μ)」とは、摩擦係数を表します。
数値が低いほど摩擦がなくなり、滑りやすくなります。モビリタの低ミュー路では、舗装路面に水が撒かれ、薄い水たまりの上を走るような感覚です。雨で濡れた路面だけでなく、凍結路面も再現されています。
これらは教習所にはない設備ですが、日常的にクルマを運転する人にとっては、大雨に遭遇することもあり、雪国では凍結していることも珍しくなく、非常に身近な状況です。

1周約500mの低ミュー路には、75mの直線だけでなく円のように旋回するコーナーやS字が設けられ、通常であればスピードを落として走行するようなシーンです。
ここでスピードを落とさずに進入するとどうなるでしょう。試験車両のトヨタ「86」と「マークX GRMN」を用いて挑んでみました。公道では事故になるため、絶対に試してはいけないことです。
当然、クルマはタイヤのグリップ力(路面をつかむ力)を失い、横滑りを始めます。
横を向いてしまった車体を立て直そうと、滑る向きとは逆に急ハンドルを切りますが、そもそもスピードオーバーであったことや、切り始めが遅れたことでそのままスピンしました。
滑りやすい路面では、やはりスピードを落とすことの重要性や急ハンドルの操作が非常に危険であることがわかり、滑り出したときに感じる、クルマが浮いたような感触を掴むことができます。
また一度滑ってしまうと、完全にコントロールを失い、いとも簡単にクルマが回転することも味わえました。
筆者は免許を取ってから10年を迎え、「多少滑っても、今までの経験でいくらでもカバーできるだろう」と思っていましたが、自分の運転を過信しすぎており、おごりがあったことを猛省しました。

徐々に慣れてくると、クルマが横を向いたとき、ハンドル操作とアクセルの踏み方をうまく調節することで、横を向いた状態をコントロールすることが可能です。いわゆる「ドリフト」をしている状態です。
しかし、これもとても難しく、少しでも操舵角が変わったり、アクセルの調整に失敗するとやはり1回転します。ドリフト競技をこなすプロドライバーの上手さを実感するととに、プロレベルに至るには、相当の経験と腕が必要である事実に直面します。
またスピードオーバーでなくても、S字の通過時に急ハンドルを切ると横滑りすることがわかります。
86よりも車重が重いマークX GRMNのほうがそのコントロールが難しく、大型の車両では、滑りやすい路面でより慎重に運転する必要があるでしょう。
さらに滑った状態で低ミュー路から乾いた路面に移ると、突然グリップ力が回復し、クルマの動きが急に変化することも経験できました。
これは濡れた路面で起こる「ハイドロプレーニング現象」からの脱出時と同じで、ハイドロプレーニング現象に陥ったら急アクセルやブレーキ、ハンドル操作をしてはならないことも学べました。





















