シフトレバーの「O/D」ボタン、なぜ消えた? そもそもどんな意味があるのか

そもそもギアの概念がなくなれば不要?

 ダイハツはオーバードライブスイッチがない車種について、「当社のラインアップではほとんどのクルマで、トランスミッションにATではなくCVTを採用しているためです。CVTではギアの概念がありませんので、オーバードライブスイッチも必然的に存在しません」と話します。

CVTを搭載したダイハツ「キャスト」のシフトレバー。「D」の下の「S」「B」はそれぞれAT車でいうセカンド、ローに近いもの(画像:ダイハツ)

 CVTは「Continuously Variable Transmission/無段変速機」の略。通常のATは速度に応じて歯車を切り替えていきますが、CVTは、ふたつのプーリーにベルトなどを巻き付け回転させ、それぞれのプーリーの直径を変化させていくことで無段階に増速・減速します。ギアのような変速ショックがなく、力のロスも少ないことから燃費もよくなるとされているトランスミッションです。

 ダイハツによると、「CVTでも一応仮想で1速、2速といった指定はありますが、『ここからここまでの範囲で』という考え方です。シフトレンジは『D』の下がスポーツの『S』、その下がブレーキの『B』という3段階から選べるようになっています」とのこと。

 スズキでも、軽自動車および登録車ではCVTがメインとなってきているといいます。一部車種でオーバードライブスイッチのついたATの車種も併売してはいるものの、流れとしてはCVTへの置き換えが進んでいるといい、オーバードライブスイッチはいずれなくなるかもしれないと話します。

 ちなみに、スズキではMTをベースとしつつもシフトやクラッチ操作をオートとしたAGS(Automatic Manual Transmission。一般的にはAMTと呼ばれる)を「スイフト」や「ソリオ」などに採用しています。こちらは、シフトレバーの構造はATに準じているものの、「D」レンジからレバーを横にスライドさせ、ギアを手動で上げ下げできるようになっているので、オーバードライブスイッチはないそうです。

【了】

「O/D」スイッチ不要になったオートマMTのシフトレバーなど写真で見る

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