トヨタ「新型“FR”スポーツカー」まもなく登場!? 自社製「ターボ」新搭載で「水平対向エンジン“廃止”」説も? 次期型「ハチロク」のゆくえとは
トヨタ「GR86」のモデルチェンジに関する情報がSNSなどで話題となっています。現行型に搭載の「水平対向エンジン」が廃止される可能性についても、まことしやかに噂されているようですが、果たして次期GR86はどのようなモデルになるのでしょうか。
水平対向エンジンを卒業し「トヨタ製2リッターターボ」になる!?
トヨタとスバルの協業によって誕生した小型FRスポーツカー「86(GR86)」と「SUBARU BRZ」。
初代と2代目(現行型)にはスバル製の水平対向エンジンが搭載されていますが、次期型ではトヨタ製のターボユニットに置き換えられる可能性もあると噂されています。
はたして“次期”ハチロクは、どのようなクルマに進化するのでしょうか。
![次期「ハチロク」はいったいどうなる!?[画像は現行型「GR86」]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2025/07/20240716_TOYOTA_GR86_001.jpg?v=1721116289)
ドライバーの意のままに操れる「手の内感」や、軽快な走り、手ごろな価格といった理由から、小型FRスポーツのファンに絶大な支持を得ているGR86。
実際、2024年の国内年間登録台数は8802台(月平均730台)と、2021年の秋のデビューからまもなく丸4年が経過しようとする2+2シーターのスポーツモデルとしては、今も非常に好調な実績を誇っているといえるでしょう。
そんなGR86ですが、いまネット上では、次期モデルのパワートレインがトヨタ製に変更されるという情報が飛び交っています。
次期型に搭載されるパワートレインとしてもっとも有力視されているのは、4WDスポーツ「GRヤリス」や「GRカローラ」に搭載されている、最大出力300PS超を誇る1.6リッター直列3気筒ターボユニット「G16E-GTS」型だといいます。
これを後輪駆動用に縦置きレイアウトとし、トヨタ製の8速AT(スポーツモデル向けのGR-DAT)や、6速MTと組み合わせるという説がささやかれています。
しかしながら、このエンジンには「燃費が悪い」という課題があります。
現行GR86の燃費(WLTCモード燃費、以下同)は、6速AT車で11.7km/L、6速MT車で11.9km/L程度ですが、G16E-GTS型エンジンを搭載する(なかでも車重が現行GR86と近い)GRヤリスは、8速AT車が10.8km/L、6速MT車も12.4km/Lにとどまります。
「スポーツカーなのだから燃費は二の次」という考えもありますが、これからの時代においては、スポーツカーであろうと燃費を度外視し続けることは難しいでしょう。
トヨタは2025年5月の一部改良において、「カローラ(セダン)」「カローラツーリング」「カローラスポーツ(ハッチバック)」、そして「カローラクロス(SUV)」に設定されていたガソリン車のグレードを廃止し、すべてハイブリッド専用モデルへと移行させました。
カローラのような手ごろでベーシックな車種にも、カーボンニュートラル対応が進んでいることを考えれば、スポーツカーであるGR86も、次期型ではハイブリッド化の可能性があると考えられます。
そこで期待されるのは、トヨタが現在開発中だと明かしている新エンジンの搭載です。
トヨタは2024年5月、新たに1.5リッター 4気筒の自然吸気およびターボ、さらに2リッター 4気筒ターボエンジンを開発中であることを発表しています。
電動ユニットと組み合わせることが前提となるこれらの新型エンジンは、ハイブリッド(HEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)、将来的には水素燃焼、e-fuel、バイオ燃料など、多様な代替燃料にも対応する「マルチパスウェイ戦略」の中心的な位置づけです。
この新型エンジンは、ショートストローク化によるエンジン本体の全高および体積の約10%を削減できることが特徴だとされています。
ボンネット高を低く抑えることで、空気抵抗の低減(=燃費向上)に繋がるほか、車両全体の軽量化にも貢献すると説明されています。
現行GR86のエンジン性能は、最高出力235PS、最大トルク250Nmですが、これに匹敵する性能が期待できるのは、新型1.5リッターターボエンジン、あるいは新型2リッターターボエンジンでしょう。
特に後者は縦置きレイアウトに対応しており、最高出力300PS・最大トルク400Nm仕様のほか、さらに高出力な400PS・500Nm仕様も開発中とされています。
したがって筆者(自動車ジャーナリスト 吉川 賢一)も、この新型2リッターターボエンジンが次期GR86のパワーユニットとして採用されるのではないかと考えています。
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これまで水平対向エンジンを採用してきたGR86ですが、環境性能の観点から、より優れたパワートレインを搭載できるならば、その選択は自然な流れ。
パワートレインが変わったとしても、GR86はこれまでと変わらず、「運転する楽しさ」を追求した国産スポーツカーであり続けるはずです。
今秋開催の「ジャパンモビリティショー2025」では、開発中のパワーユニットに関する新たな発表、ひいては次期GR86およびBRZのプロトタイプが公開される可能性も十分にあると考えられます。
今後の展開に大いに期待したいです。
Writer: 吉川 賢一
日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど















































