トヨタの「“7人乗り”プリウス」が凄かった! めちゃ広々ラゲッジ×「走りのスポーツ仕様」も設定! 画期的“3列シート”搭載した“プリウス ミニバン”「アルファ」とは何だったのか
トヨタ「プリウス」に7人乗りを実現した派生モデルがありました。今でも再登場を求める声も多いこのモデルについて、振り返ります。
今でも再登場を求める人が多い「派生モデル」
世界初の量産ハイブリッドカーとして、1997年12月に発売を開始したトヨタ「プリウス」。
現在は5代目モデルが現行型としてラインナップされていますが、過去には派生モデルとして5ドアステーションワゴン/ミニバンモデルが存在していました。
それが2011年から2021年までラインナップされていた「プリウスα(アルファ)」です。

プリウスαの登場当時は、2009年にデビューした3代目プリウスが販売中のタイミングで、プリウスαも3代目プリウスと同じ1.8リッターエンジンにモーターを組み合わせた「THS-II」というハイブリッドシステムを搭載しています。
しかし、駆動用モーターの冷却方法に水冷式を採用したり、3列シート仕様にはトヨタの量産ハイブリッドモデルとして初のリチウムイオンバッテリーを採用したりするなど、確実に進化を重ねていました。
車両型式も、3代目プリウスが「ZVW30」系だったのに対し、プリウスαは「ZVW40」系ということで、実質「3.5代目プリウス」と言ってもいいものとなっていたのでした(なお4代目プリウスは「ZVW50」系となる)。
そんなプリウスαですが、前述したようにステーションワゴンモデルとミニバンモデルが存在します。
前者は2列シート5人乗り、後者は3列シート7人乗りとなっていて、フロントシートの中央にはアームレスト付センターコンソールボックスが備わっていたのもプリウスとの大きな違い。
7人乗り仕様では、コンパクトなリチウムイオンバッテリーがこのコンソールボックス部に搭載されていました。
5人乗り仕様は後部が広い荷室となっており、7人乗り仕様も3列目シートをチルトダウンで格納することで5人乗り仕様に匹敵する荷室スペースを実現することができ、5人乗り仕様では535リッター、7人乗り仕様ではシート格納時505リッターを実現。
この広いラゲッジスペースも、プリウスにはない魅力となっていました。
また一部グレードには「樹脂パノラマルーフ」を設定。これはトヨタ初の試みで、ガラスよりも約40%軽量な樹脂を使用することで、操縦安定性の確保に貢献するほか、高い断熱性も併せ持つものでした。
サンルーフとは異なり開閉機構のない固定式とはなりますが、後席(2列目)の上までカバーする大型なものとなっているので、かなりの開放感が得られるものとなっていました。
2014年11月にはマイナーチェンジを実施し、フロントマスクを中心にエクステリアデザインを大きく変更。さらに2015年2月にはスポーツコンバージョンモデルの「G’s」を追加。
このG’sはTOYOTA GAZOO Racingのテストドライバーがトータルチューニングを施したスポーツモデル。
15mmダウンの専用スポーツサスペンションや床下剛性アップパーツ、空力パーツの装着により、本来の環境性能を維持しながら上質感とスポーティさを両立する走りを実現しており、5人乗り仕様と7人乗り仕様、両方が用意されていました。
なお、G’sは2017年11月に「GR SPORT」へとバトンタッチがなされ、7人乗り仕様はGR SPORTシリーズ唯一の3列シートハイブリッド車となっています。
そんなプリウスαですが、発売当初は背の低いミニバンがまだ人気を得ていたこともあり、好調な売れ行きでしたが、モデルライフ終盤になるとミニバンの主力はスライドドアを持つタイプに移行し、徐々に人気が低迷。
プリウス自体は2015年に4代目へとフルモデルチェンジを果たしますが、プリウスαはフルモデルチェンジをすることなく、2021年春まで販売が続けられたのちに、終売となりました。
3列シートのハイブリッドモデルは「ノア/ヴォクシー」が、ステーションワゴンのハイブリッドモデルは「カローラツーリング」がそれぞれ受け継ぐ形となっています。
しかし、プリウスαのようなキャラクターを持つハイブリッド車を求める声は今でも一定数あるようなので、いつか復活することを期待したいところです。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。























