全長4.5mで「7人乗り」! ホンダの「スポーツ3列ミニバン」が凄かった! ちょうどいい「5ナンバーボディ」に精悍デザイン採用! 「オデッセイ」より小さい「ストリーム」とは

ホンダがかつて販売していたコンパクトミニバン「ストリーム」は、一時期は大ヒットとなったモデルでした。一体どのようなクルマだったのでしょうか。

空前の「大ヒット」を記録したものの…

 1994年に登場した「オデッセイ」や1996年の「ステップワゴン」など、当時としてはエポックメーキングなモデルを生み出して人気を博すことで定評のあるホンダ。

 そんなホンダが2000年にリリースした「ストリーム」もまた、他メーカーからフォロワーをリリースさせるほどの影響力を持ったモデルでした。

 一体どのようなクルマだったのでしょうか。

コンパクトサイズ×スポーティさがウリだったホンダ「ストリーム」
コンパクトサイズ×スポーティさがウリだったホンダ「ストリーム」

 2000年10月に発売を開始したストリームは、当時の「シビック」系のプラットフォームやメカニズムを流用して生まれた3列シート車です。

 ステーションワゴンのようなスタイリッシュさと、シビック譲りの走りの良さを組み合わせていたことが特徴でしたが、特にユーザーに響いたのが、ボディサイズを全長4.7m以下×全幅1.7m以下という小型車(5ナンバー)サイズに収められていたという点でした。

 当時、すでにセダンライクな乗り味のミニバンとしてオデッセイが高い人気を誇っていましたが、オデッセイは3ナンバーの比較的大きなボディサイズとなっていたため、取り回しの面で不満を持つユーザーが存在していました。

 そこに5ナンバーサイズでコンパクトな3列シート車が登場したということで、ストリームは瞬く間に人気車種となったのでした。

 オデッセイと同じくヒンジドアを備える5ドアハッチバックタイプのボディに搭載されるパワーユニットは、2リッターのDOHC i-VTECエンジンと1.7リッターのSOHC VTECエンジンの2種類。

 2リッターの2WDモデルには5速ATが設定されており、これは横置き直列4気筒エンジンとの組み合わせでは世界初のものとなっています。

 発売直後からストリームは圧倒的な人気を誇り、当時のホンダの登録車としては最速となる、発売から10か月で累計販売台数10万台を達成。シビックとともに第21回「2000-2001 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するという高い評価を集めたのでした。

 そして、このストリーム人気に目をつけたのがトヨタでした。2003年に同じく5ナンバーサイズの3列シート車の対抗モデル「ウィッシュ」をリリース。

 ウィッシュは、全長4550mm×全幅1695mm×全高1590mmというボディサイズでしたが、これはストリームと全く同一の数値となっており、ストリームを意識していたのは明白だったのです。

 そして2006年7月にはストリームは2代目へとフルモデルチェンジを実施。

 全高の低いスポーティな3列シート車という基本コンセプトは踏襲しつつも、一部グレードでは全高を1550mm以下に抑えることで、高さ制限のある機械式駐車場への入庫も可能としたのがライバルとの大きな違いとなっていました。

 またトランスミッションもCVTへと置き換えられており(4WD車は5速AT)、スポーティグレードの「RSZ」ではパドルシフトでマニュアル感覚でのシフト操作も可能となっていました。

 このように確実に進化していた2代目ストリームではありましたが、このときは徐々に3列シート車の主流が、スライドドアを備える背の高いモデルに移りつつありました。

 ストリームは2009年6月のマイナーチェンジで、ステーションワゴン的に使うことができる2列シート仕様を追加。

 また同時に、衝突被害軽減ブレーキ(CMBS)やアダプティブクルーズコントロール(ACC)、車両挙動安定化制御システムといった先進安全装備を備えたグレードもいち早く設定していたのでした。

 しかし、ステーションワゴンの需要も徐々に縮小していったこともあり、2014年夏ごろに生産を終了。

 それから直接的な後継車種も登場することなく、2世代に渡る歴史に幕を閉じることとなったのです。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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