新車207万円から! トヨタの「小さいミニバン」なぜ売り上げ絶好調? 安くて運転しやすいだけじゃない! 「シエンタ」に人気が集中する意外な理由とは?
トヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」に販売が好調です。なぜ小さいミニバンに人気が集まるのでしょうか。
安くて運転しやすいだけじゃない!
最近はトヨタ「シエンタ」の販売が絶好調となっており、2025年上半期(2025年1~6月)の小型/普通車販売ランキングは、1位のトヨタ「ヤリスシリーズ」と2位のトヨタ「カローラシリーズ」に続いて3位にランクインしています。
ただし、ヤリスとカローラはシリーズを合算した数字となっており、そうなると、単一車種での実質的な1位はシエンタということになります。
一体なぜシエンタに人気が集まるのでしょうか。

現行シエンタの発売は2022年8月で、2023年の1か月平均登録台数は1万1028台でした。2024年は9258台に下がりましたが、2025年上半期は9480台ですから、2024年に比べて若干増えています。
一般的にクルマの売れ行きは、大幅な改良を実施しない限り、発売から時間を経過すると下がっていきますが、シエンタは微増しているわけですから、人気の根強さが分かります。
シエンタが高い人気を得た背景には、複数の理由があります。
まず、ミニバンを含めて、日本車の価格が全般的に高くなったことです。
衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能の採用、原材料費の高騰などにより、今の乗用車の価格は15年前の1.2~1.5倍に値上げされています。
先進安全装備を得られることは、新車を買う大きなメリットですが、日本の平均所得は過去30年ほど増えていません。クルマの購入予算を増やせないなら、サイズを小さくする必要が生じます。
ちなみに今から15年前の2010年には、ミドルサイズミニバンのトヨタ「ノア」に、2リッター直列4気筒ガソリンエンジンを搭載する、買い得な「X・Lセレクション」が227万円で用意されていました。
この価格と同等のミニバンを今のトヨタで探すと、シエンタの「1.5G・7人乗り」が該当し、237万7500円です。
15年前はミドルサイズの「ノア/ヴォクシー」の人気が高かったですが、今はノアに2リッターガソリンエンジンを搭載するGは297万円です。エアロパーツを装着した売れ筋の「S-G」は304万円に達します。
300万円前後まで購入予算を増やせない場合、15年前にノア/ヴォクシーを買っていたユーザーが、今はシエンタに乗り替えるのです。
しかも2010年のトヨタのミドルサイズミニバンには、ノア/ヴォクシーのほかに「アイシス」や「ウィッシュ」もありました。しかし今のトヨタのミニバンは車種を減らし、コンパクトサイズはシエンタだけ。
他社のモデルでも、コンパクトミニバンはホンダ「フリード」に限られます。
ミドルサイズミニバンが値上げしている一方で、コンパクトミニバンの車種が少ないなかでは、シエンタとフリードに需要が集中。ミニバンのラインナップがユーザーのニーズにマッチしていないため、結果的にコンパクトミニバンの売れ行きが増えたという事情もあるのです。
トヨタの販売店でシエンタが人気を得た理由を聞いてみました。
「シエンタは、子供が生まれたりして、コンパクトカーのヤリスやアクアからアップサイジングするお客様が多いです。
その一方で子育てが終わり、ノアやヴォクシーからシエンタへ乗り替えるお客様もおられます。
子育てを終えても自転車などを積む必要があり、頭上空間も欲しいお客様は、コンパクトミニバンのシエンタを選びます」
シエンタは、コンパクトカーからのアップサイジングと、ノア/ヴォクシーなどからのダウンサイジングによって好調に売られていることがわかります。




































