最強の「SUVミニバン」が人気スギ! なぜ? 18年経っても色褪せない… 三菱「デリカD:5」売れ続ける理由とは
三菱「デリカD:5」は、同社で最も売れている登録車。日本自動車販売協会連合会(自販連)調べによる2025年上半期の登録車ランキングでは、28位ながらも前年対比143.8%、1万3163台を記録しています。古参モデルでも着実に売れているデリカD:5が人気の理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
なぜ三菱「デリカD:5」はいまも売れ続けるのか
三菱の「デリカD:5」は、2007年1月の発売からすでに18年が経過した古参モデルです。
2019年2月にビッグマイナーチェンジを受けたとはいえ、基本設計は古いのが現実。
しかし、三菱で最も売れている登録車で、日本自動車販売協会連合会(自販連)調べによる2025年上半期の登録車ランキングでは、28位ながらも前年対比143.8%、1万3163台を記録しています。
古参モデルでも着実に売れているデリカD:5の人気を探ってみます。

最大の美点は、ミニバンで随一といえる高い悪路走破性を備えている点で、巷では「SUVミニバン」と称されることも。
ミニバンでトップとなる185mmの最低地上高、同社独自の「AWC(All Wheel Control)」思想に基づく全車4WDという分かりやすい設定になっています。
2019年10月にガソリン車と2WD(FF)の生産を終了し、現在の2.2Lディーゼルターボと4WDの組み合わせのみとなっています。
人気の理由は、ミニバン随一のロードクリアランスも含めた優れた悪路走破性を備えていることです。
さらに、絶妙なボディサイズも見逃せません。全長4800×全幅1795×全高1875mmは、取り回しに困るほどの大きさではなく、最小回転半径も5.6mに収まっています。
全長4696×全幅1730×全高1895mmのトヨタ「ノア」、「ヴォクシー」と比べると、とくに全長の優位性を感じさせるパッケージングに現れています。
典型的な箱型スタイルも相まって、1列目と2列目はもちろん、3列目頭上まで広々としています。
セカンドシートのオットマン、2列目の横スライドなど、決して多彩なシート機能やシートアレンジを用意しているわけではありません。
しかし繰り返しになりますが、3列目の頭上、足元空間も外観から想像するよりも広く、ノア/ヴォクシー(ノアヴォク)よりもサードシートの居住性と座り心地では上回る印象です。
3列目の左右跳ね上げ機構は、ノアヴォクよりも操作感は明らかに重いものの、3列目を跳ね上げて2列目をチップアップさせれば1610mmという広大な荷室長を確保できます。サードシートも340mmのロングスライドが可能です。
こうした悪路走破性の高さや広い室内と荷室、アレンジは少ない反面、容易な操作性を実現するシートなどは、日常使いからキャンプやウインタースポーツ、マリンスポーツも楽しむ層にとっては魅力的に映るはず。

また、現在のミニバンは、ノア/ヴォクシーやホンダ「ステップワゴン」、日産「セレナ」など、5ナンバーサイズを基本とする(3ナンバーもあります)ミドルサイズ級。
その上は、ホンダ「オデッセイ」や日産「エルグランド」、そして王者であるトヨタ「アルファード」、「ヴェルファイア」などのラージサイズミニバンしかなく、意外と選択肢は限られてきます。
デリカD:5のサイズ感も購入の決め手になる人もいそうです。
2019年秋のビッグマイナーチェンジで、デュアルピニオン電動パワーステアリングを備え、改良前よりも洗練されたハンドリングを得ているとはいえ、走りにはどことなく古さを感じさせます。
しかし、燃料に軽油を指定するトルクフルな2.2Lディーゼルを積むパワートレーンとマッチしているように思えてくる操縦安定性など、不利と思われる基本設計の古さもファンにとっては、好ましく感じられるかもしれません。
そのほか、ほかのミニバンとは似ていない存在感あふれる顔つきとボクシーなスタイルも人気を支えていると言えるでしょう。
さらに、リフトアップやローダウンを含めたカスタマイズのベース車としての高い資質も根強い人気を支えているはずです。
Writer: 塚田 勝弘
中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー用品などのフリーライター/フリーエディターに。軽自動車からミニバン、キャンピングカーまで試乗記や使い勝手などを執筆。現在は最終生産期のマツダ・デミオのMTに乗る。









































