恐怖! トヨタ「ランクル」の盗難事件が“急増”中! 犯行は「ゲームボーイ」が使われる!? その場で“キー複製”&「穴あけ接続」で「純正セキュリティ」は意味なし! どんな手口なのか
ランクルはどうやって盗まれるのか
では、プラドやランクル250、ランクル300はどんな手口で盗まれているのでしょう。

まずプラドについては、防犯カメラの映像や被害者への聞き取りなどから考察すると、圧倒的に昔ながらの旧型CANインベーダーの使用が多いと考えられます。
プラドのなかでも、窃盗団のターゲットの中心となるのは、2017年9月~2023年12月までのモデルです。
こちらはランクル300や250のように、旧型CANインベーダー対策として防盗効果が高いトヨタセキュリティシステムが標準装備されていません。
そして、なかには「自分のプラドは古いから盗難されることはないだろう」と思い込み、効果的な防犯対策はせず、安価なハンドルロックと施錠だけという方も少なからずいらっしゃいます。
旧型CANインベーダー専用のトヨタセキュリティシステムは、後付けのディーラーオプションとして装着が可能です。値段も2万円以下とコスパも優秀といえます。
ただし、ディーラー営業担当者の中にはトヨタセキュリティシステムのことを全く知らない方もいるようなので、事前に相談する際にしっかりと確認してください。
また、原則としてパーツだけを販売することはなく、防犯上の理由からディーラーで対面装着となっています。
ただし、このトヨタセキュリティシステムは、あくまでも旧型CANインベーダーの対策品です。
“GAME BOY”と呼ばれるキーエミュレータ(不正にキー情報を取得したり、キーを複製してエンジンを始動する機器)、また後述する新型CANインベーダーについては効果がありませんので注意してください。
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いっぽう、ランクル250とランクル300(2022年11月以降製造)には、全車標準でトヨタセキュリティシステムを装備しています。
旧型CANインベーダーの対策としては効果がありますが、それもあって、最近では新型CANインベーダーによる窃盗が急増してきました。
同じ「CANインベーダー」という名前はついていますが、旧型と新型ではデバイスの構造も接続ポイントも、全く異なっています。
新型CANインベーダーは簡単にいうとフロントドアやリアゲートに小さな穴を開けたり、ボディパネルの一部を7~8cm四方程度の大きさに切り取ったりして、そこからECUにつなぐ方法です。
この手口による盗難未遂車両(レクサスLX、ランクル250)で検証を行い、ユーザー向けに啓発動画を公開している自動車盗難防止協会は、以下のことを警告しています。
「ドアパネルの特定の場所を切り取ってドアパネル内の『アウターミラーコントロールECU』に接続し、ドアを解錠して盗む」
「同様にリアゲートも同様の方法で『マルチプレックスネットワークドアECU』に接続する。ただしリアパネルは二重構造になっているので作業しづらい」
「実際、新型CANインベーダーによる穴あけ盗難の被害件数はリアゲートよりもドアのほうが多い」
日本で多く出回っている盗難デバイスの一例は、画像のような機器になります。CANインベーダーとしての機能のほか、キー複製の機能も備わっています。
また、ランクル250や300、アルファード/ヴェルファイアなどの新しい車種では、キーエミュレータによる盗難も昨年春頃から日本国内でも増えてきたため、要注意です。
“GAME BOY”などのキーエミュレータはバンパーをずらしたり、ボディパネルを切り取ったりするなどが不要で、キズもつかず綺麗に盗めるのが特徴です。
その場でクルマから出る信号をキーエミュレータでキャッチし、わずか数分~40分程度でスペアキーの機能を作製します。下見の日にスペアキーだけ作って、後日盗みに来るパターンもあります。
いずれの手口でも、マイカー始動ロックや指紋認証などの純正セキュリティ、すぐ破壊されるハンドルロックやタイヤロックでは防ぐことはできません。
防盗効果の高い実績を持つ社外セキュリティとともに、ハンドルロックやディスクロック、タイヤガードなども、防盗に対して実績を持つ物理ロックの併用をおすすめします。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。








































