「トイレ行きたい」「電話したい」時に高速道路の「謎スペース」使っていい? “ちょっとの休憩”で停めて大丈夫? 本来の目的と“正しい使い方”とは?

高速道路脇には、一定の間隔でクルマが停められそうな「謎のスペース」が設けられています。一体どのような意味があり、いつ活用するものなのでしょうか。

高速道路脇の「謎スペース」はいつ使うの?

 夏の暑さは厳しく、ついアイスクリームを食べ過ぎたり、食中毒でお腹を壊したりすることもあり、運転中に急にトイレに行きたくなることもあるでしょう。

 また、夏は天気が良い日が多く、家族や友達とのドライブや旅行の機会も増えるものです。

 しかし、高速道路を運転中にトイレに行きたくなったり、急な電話に対応したくなったりした場合、道路脇に見える「謎のスペース」に停車してもよいのでしょうか。

「謎のスペース」で休憩しても大丈夫?
「謎のスペース」で休憩しても大丈夫?

 このスペースは「非常駐車帯」と呼ばれ、特定の目的のために設置されたもので、気軽に利用できるものではありません。

 非常駐車帯とは、高速道路の路肩に設けられた、故障車両や緊急車両、道路管理車両が停車するための専用スペースであり、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)のような休憩施設とは異なります

 高速道路では、道路交通法第75条の8第1項により、本線や路肩を含むほぼ全域で駐停車が禁止されています。

 このルールは非常駐車帯にも適用され、私的な理由での停車は認められていません。

 例えば、前述のトイレに行きたい、電話に出たい、眠気を感じたといった場合でも、非常駐車帯に停車することはできません。

 こうした状況では、最寄りのSAやPAまで我慢して走行するか、インターチェンジ(IC)で高速道路を降りて適切な場所で休息を取る必要があります。

 非常駐車帯の設置間隔は、道路の構造に応じて異なります。

 土工部や橋梁部では約500mごと、トンネル内では約750mごとに配置されており、緊急時に迅速な停車が可能なよう設計されています。

 この間隔は、車両が安全に停止できるように計算されたもので、高速道路の安全性を高める重要な役割を果たしています。

 しかし、非常駐車帯はあくまで緊急対応を目的とした設備であり、日常的な駐車スペースとして利用することは想定されていません。

 非常駐車帯の歴史は、日本における高速道路整備の進展と密接に関連しています。

 1963年に開通した名神高速道路や、1968年の東名高速道路の建設時、車両の増加に伴い、故障や事故による停車需要が高まることが予想されました。

 当初、路肩を広くするだけでは不十分だったため、緊急時に安全に停車できる専用スペースとして非常駐車帯が導入されました。

 1970年代以降、トンネル内での火災事故や渋滞時の安全確保が課題となり、非常駐車帯の設置基準がさらに厳格化。

 特にトンネル内の非常駐車帯は、煙や熱からの避難スペースとしても機能するよう設計され、現代の高速道路設計において不可欠な要素となっています。

 このように、非常駐車帯は高速道路の安全性を支える基盤として進化を遂げてきました。

 もし、非常駐車帯を誤って利用すると、重大なリスクが伴います。

 高速道路上での駐停車は違反となり、違反点数2点と、普通車の場合1万2000円の反則金が科される可能性があります。

 さらに、非常駐車帯に停車した車両が後続車に追突される事故も発生しています。

 特に夜間は視界が悪く、停止中の車両のテールランプを走行中のクルマと誤認するケースが報告されています。

 こうした事故を防ぐため、やむを得ず非常駐車帯に停車する場合は、まず車両を本線から完全に離し、非常駐車帯内に停車します。

 次に、ハザードランプを点灯し、車両後方に発炎筒や停止表示板を設置して後続車に存在を知らせます。

 その後、速やかに車外に出て、ガードレールの外側や安全な場所に避難します。

 最後に、道路脇の非常電話や携帯電話で道路緊急ダイヤル「9910」または110番に連絡し、状況を報告します。

※ ※ ※

 高速道路は、SAやPA、料金所、警察の指示がある場合を除き、ほぼ全域で駐停車が禁止されています。

 非常駐車帯は緊急時の安全確保のための設備であり、トイレや電話のために気軽に使える場所ではありません。

 誤った利用は、自身や同乗者、他のドライバーの命を危険にさらし、交通の混乱を招く恐れがあります。

 夏のドライブを安全に楽しむためには、非常駐車帯の役割を正しく理解し、事前の準備と適切な運転を心がけることが大切です。

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Writer: くるまのニュース編集部

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