ホンダ「コンパクトモデル」がもはや下剋上!? 価格が安い「フィット」よりSUVの「ヴェゼル」が売れる理由とは? 意外な事実が判明!
ホンダのコンパクトカーとして「フィット」がラインナップされますが、同じくコンパクトカーでSUVの「ヴェゼル」のほうが売れ行きが上回ります。価格はフィットのほうが安いのに、どのような理由があるのでしょうか。
「フィット」より「ヴェゼル」が人気! なぜ?
「フィット」はホンダの伝統あるコンパクトカーで、初代モデルは2001年に発売されました。
翌2002年の売れ行きは絶好調で、トヨタ「カローラシリーズ」を抜き、国内販売の1位になり、その後も堅調な販売を保っています。

フィットが人気を得た背景には複数の理由がありますが、特に注目されたのは合理的なクルマ造りです。
一般的に乗用車の燃料タンクは、後席の座面の下にありますが、フィットは前席の下。そのために車内後部の空間が広く、後席を床へ落とし込むように格納できます。
フィットの全高は、立体駐車場が使える高さに抑えていますが、大容量の荷室を得られるのです。
この特徴は、2001年の初代モデルで採用された後、2020年に発売された現行型の4代目フィットにも継承されています。
しかし、ここ最近はフィットの売れ行きが伸び悩んでいます。
2024年度(2024年4月から2025年3月)のフィットの登録台数は、1か月平均で4887台でした。その一方で、ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」が1か月平均5927台に達して、フィットを上まわっています。
フィットのグレード構成は、1.5リッターガソリンと、1.5リッターエンジンが主に発電を行うハイブリッドの「e:HEV」に大別されます。
売れ筋グレードは、両パワーユニットともに「HOME(ホーム)」で、価格(消費税込、以下同)は、ガソリン車が198万5500円、e:HEV車が232万8700円です。
一方のヴェゼルのグレードはe:HEVが中心で、ガソリン車はあるものの4WDのみ。そして、ヴェゼルで売れ筋となるe:HEV・Z・2WDの価格は319万8800円です。
ヴェゼルの価格はフィットよりも80万円から120万円高いのに、売れ行きは上まわります。
なぜ価格の高いSUVのヴェゼルが、実用的で割安なコンパクトカーのフィットよりも多く売れるのでしょうか。
販売店に尋ねると以下のように返答されました。
「今は当社に限らず、コンパクトSUVが人気です。フィットの販売も、従来型から乗り替えるお客様が多く好調ですが、ヴェゼルは新規で買われる比較的若いお客様も目立ちます。ヴェゼルは幅広い年齢層のお客様の間で人気を高めました」
販売店が指摘する通り、今はコンパクトSUVの販売が好調です。例えばコンパクトカーのトヨタ「ヤリス」とコンパクトSUVの「ヤリスクロス」を比べると、登録台数は後者が多いです。2025年1~5月の1か月平均登録台数は、ヤリスが約6470台、ヤリスクロスは約7970台でした。ヤリスクロスはヤリスの1.2倍売れています。
トヨタ「カローラシリーズ」も同様に、セダンの「カローラ」、ワゴンの「カローラツーリング」、コンパクトSUVの「カローラクロス」という複数のボディがあるなか、カローラクロスはシリーズ全体の46%を占めています。
コンパクトSUVは全長が4.5m以下(ヴェゼルは4340mm)に収まり、混雑した街中や駐車場でも運転しやすいです。その一方で全高は高く設定され(ヴェゼルe:HEV・Zは1590mm)、フロントマスクにも厚みがあり、外観には存在感がありデザイン性も優れています。
全高に余裕があるために後席と荷室も広く、ファミリーカーとしても実用的で使いやすいという特徴も魅力でしょう。







































