約270万円! トヨタ新「クーペSUV」がスゴい! 流麗スタイル×ハリアーサイズ!? 「bZ5」に中国で乗った!【試乗記】
今回、トヨタ「bZ5」に試乗しましたが、いったいどのようなクルマなのでしょうか。
話題のbZ3Xよりも良い!?次なるトヨタBEV「bZ5」に試乗
「bZ5」はトヨタのBEVサブブランド「bZシリーズ」4番目の車種として、2024年に「bZ3X」と一緒に発表されました。
当初は「bZ3C」としてお披露目されましたが、発売直前の2025年4月になって「bZ5」へと改名された経緯を持ちます。
今回、bZ5に試乗しましたが、いったいどのようなクルマなのでしょうか。

bZ5の開発は世界最大のEVメーカー「BYD」との合弁会社「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY(BTET)」を通じて進められ、バッテリーやモーター、プラットフォームの一部にBYDの技術が用いられています。
BYDとの共同開発モデルは2023年に発売されたセダン「bZ3」に続いて2車種目となりますが、bZ3よりも多くの点で進化しています。
なお、実際の製造と販売は第一汽車との合弁会社「一汽トヨタ」が担当します。
中国市場向けのトヨタ製BEVと言えば、広汽トヨタ(広州汽車との合弁会社)が製造・販売を担当する「bZ3X」が異例の好調ぶりを見せています。
bZ3Xは2025年3月の予約開始時に開始1時間で1万件を受注するなど当初より注目度が高いモデルでした。
2025年6月末までに約2万台が納車されており、まだ1万台以上がデリバリー待ちとも言われています。
6030台を販売した2025年6月ではその月の合弁系BEV販売台数ランキングにおいて、ほぼ同数を販売した日産の純電動セダン「N7」とともにトップ2を独占しました。
高度な運転支援機能や高い安全性、そして販売価格の安さはbZ3XとbZ5に共通している点ですが、一方でお互いのターゲット層は異なります。
bZ3Xは保守的なデザインを持つファミリー向けSUVであるのに対し、bZ5は若年層を意識した伸びやかでエッジの効いたエクステリアを持ちます。
bZ5は全長4780 mm x 全幅1866 mm x 全高1510 mm、ホイールベース2880 mmとなり、SUV「ハリアー」の全高を低くしたサイズ感です。
ボディ自体は5ドアSUV、サイドのキャラクターラインはbZ3を踏襲しつつも、bZ5ではより曲線を多用した躍動感を感じさせるデザインです。ロー&ワイドなプロポーションはスポーティさも感じさせます。
日本の感覚からするとbZ5のサイズは大きいですが、実際に運転してみると意外にも運転のしづらさは感じさせません。
前輪に配置された出力268 hp/トルク330 Nmのモーターのおかげで街中はキビキビと走り、高速道路などの高速域でも素晴らしい加速を見せてくれます。
少し入り組んだ路地裏ではルーフに搭載されたLiDARユニットが障害物との距離を測って画面に表示してくれるので、まったく不安はありません。

加速感や取り回しのしやすさは高く評価できる一方、段差や凹凸を乗り越える際の衝撃音は少し大きいと感じてしまいました。
5ドアハッチバックなためにキャビン内に音が反響しやすく、また衝撃自体も特に後輪が乗り上げる際のバタつきが気になった点です。
サスペンション自体は前・マクファーソンストラット/後・マルチリンクという価格の割には良い足回りなので、試乗した個体がまだ新しすぎて馴染んでいない可能性も考えられます。
最上位グレードということもあり、試乗したモデルのインテリアは本グレード専用色「ブラック/レッド」でビビッドな雰囲気を醸し出します。
コックピット周りは中国の流行を取り入れたフラットでシンプルなデザインとなっており、エアコンやメディアの操作はすべて15.6インチのセンターディスプレイで行ないます。
押しボタン式のウィンカー操作やパドル状のライト/ワイパー操作には当初は戸惑いましたが、何回か操作しているうちに使いやすいと感じました。
まるでゲーム機のコントローラーのように最小限の手の動きで操作できる点は評価できます。
bZ5は容量65.28 kWh(CLTC航続距離550 km)と73.98 kWh(630 km)の2種類のバッテリーを基軸に、それぞれ装備や高度運転支援機能の有無で「JOY」「PRO」「MAX」に分けられた合計6グレード展開、価格帯は12.98から19.98万元(約269.1~414.1万円)となります。
大好評のbZ3Xよりも2から4万元(約41~83万円)ほど高い価格帯ですが、流行に敏感な若者をターゲットとしているということで、どれほど受け入れられるかに注目が集まります。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。
















































