全長4.1mで600馬力! 日産「超“コンパクト”GT-R」が凄かった! 「V6ツインターボ」×高性能4WD搭載! 「GT-R内装」採用の“公式モンスター”「ジュークR」英モデルとは
日産のコンパクトSUV「ジューク」に、同メーカーのスーパースポーツモデル「GT-R」のパワートレインを搭載したクルマが販売されていました。一体どのような仕様だったのでしょうか。
ぶっとんだ組み合わせ! 販売してた幻のモンスターマシン「ジュークR」
日産のコンパクトSUV「ジューク」は2010年に販売が開始され、個性的なデザインと扱いやすいサイズ感で人気を集めました。
そんなコンパクトSUVであるジュークに、バリバリのスポーツモデル「GT-R」のパワートレインを搭載するという奇抜な組み合わせで生産・販売されたのが、2011年に発表された「ジュークR」です。

ジュークRのネーミングは、そのままジュークの初代モデルにGT-Rのパワートレインを搭載したことから付けられました。
実質的な製作は、日産ヨーロッパと英国のRML社の協力によって進められました。
ベース車両に選ばれたのは初代ジューク。有機的なデザインからしてクセの強いクルマでしたが、扱いやすいコンパクトなサイズ感から日本では人気を獲得しました。
ボディサイズは全長4135-4165mm×全幅1765-1770mm×全高1565mm、ホイールベースは2530mm。
ひいては現在のコンパクトSUV人気の火付け役ともなり、海外市場でも人気を得ることができています。なんと、現在も2代目が販売されているという意外な人気ぶりなのです。
そんなジュークへ、走りに関係するコンポーネントのエンジンや駆動系、サスペンションなどはGT-R(R35型)から移植。
コンパクトSUVのボディにスポーツカーのパワフルなコンポーネントを搭載し、外観にも斬新なデザインを選択した唯一無二のクルマといえるでしょう。
発表当初はショーモデルにとどまる予定でした。しかし予想以上の反響を受け、日産の英国法人により2012年5月に市販化されました。
生産数は推定21台(台数には諸説あり)と、幻のクルマといわれるほどの少数生産。当時の販売価格は、日本円換算で5000万円程度となっています。
パワートレインは、GT-R用の3.8リッターV型6気筒ツインターボエンジン「VR38DETT」型です。6速DCTと「ATTESA E-TS」4WDシステムとの組み合わせもGT-Rと全く同じで、初期仕様では最高出力485PSを発揮しました。
0-100km/h加速は約3.0秒、最高速度は257km/hをマークしています。
ジュークのコンパクトな車体にGT-Rのパワートレインを収めるため、シャシーには大幅な改造が施されました。FIA規格のロールケージや専用のプロペラシャフト、RAYS製20インチ鍛造ホイールなども採用されています。
しかし大幅な改造と専用パーツの搭載により、ジュークRの車両重量はGT-Rよりも重い約1806kgとなりました。コンパクトなジュークがGT-Rよりも重い車重で生まれ変わるなんて、まさにモンスターマシンといえるでしょう。
マットブラックに塗装された外観には、GT-Rと同じエンケイ製20インチホイールの鍛造品を装着。フロントバンパーには5つの丸いロアダクトを備え、2分割リアスポイラーも装備されています。
フロントマスクはジュークのおもかげを残しますが、サイドやリアからのルックスはコンパクトレーシングカーといっても過言ではありません。
内装には「R」のロゴが印象的なGT-Rと同形状のステアリングやシートなどを採用。センターコンソールにはGT-Rと同じパワートレインのセッティングスイッチが並び、内装もこだわりのレーシング仕様となっています。
2015年、ジュークRをさらにパワーアップさせた「ジュークR 2.0」が登場。
ベース車両はフェイスリフト後の2015年型ジューク。GT-Rのハイエンドモデル「GT-R NISMO」用の最高出力600PSエンジンが搭載されるほどの本気ぶりです。
ジュークR 2.0では、0-100km/h加速で3.0秒、最高速度は320km/hを記録しています。コンパクトSUVベースのクルマとしては驚異的な性能です。
そんなドリームカーであったジュークR 2.0ですが、ジュークRとは違い、市販化には至りませんでした。
ただし、ジュークRシリーズは日産の技術力と挑戦心を象徴する“コンセプトの具現化”という意味合いを持つモデルです。実用性よりも、未来に繋がる可能性を探求するためのモデルだったともいえるでしょう。
ジュークRのベース車両となったGT-Rは、2025年8月に生産終了します。また、電気自動車化の加速により、ジュークRのようなドリームカーの登場も難しい時代になっています。
しかしカーファンとしては、日産の挑戦心あふれるモンスターマシンの再来を願わずにはいられません。CMでも聞き馴染みのある「やっちゃえ日産」のフレーズが、いつかドリームカーの実現につながることを信じたいところです。
Writer: TARA
トヨタ自動車のある愛知県在住。学生時代にクルマやバイクに魅了される。大手オイルメーカーに就職し、自らもモータースポーツに参戦開始。その後は鈴鹿サーキットで勤務しつつ、カートレースやバイクレースを経験。エンジンやサスペンション、タイヤや空力などの本格的な知識を得る。現在はプライベートでさまざまなクルマやバイクに触れながら、兼業ライターとして執筆活動に勤しむ。現在の愛車はトヨタ ヴォクシー/ホンダ N-BOX。






















































































