全長5m超え! 巨大メッキグリル採用の「新型ミニバンM9」発表! リア“一文字テール”もイイ! BYDがメキシコ発表で日本導入もあり得るか
海外展開を進めるBYDですが、2025年6月下旬にメキシコで新たなモデルを発表しました。発表されたのはM9というミニバンで、2025年初頭から中国で販売されている「夏」の海外向けモデルとなります。日本市場への導入はあり得るのでしょうか。
BYD、海外向け5メートル超ミニバン「M9」発表 日本導入の可能性は?
BYDが海外市場向けに新たなミニバンを発表しました。
いったいどのようなクルマなのでしょうか。また日本市場への導入はあり得るのでしょうか。

世界最大のEVメーカーである中国の「BYD」は2024年、全世界で427万2145台を販売、そのうち電気自動車(BEV)が176万4992台で42%、プラグインハイブリッド車(PHEV)が248万5378台で58%を占めます。
2025年上半期では前年同期比33.04%増の約214.6万台を記録しており、今年もさらなる成長が見込まれます。
BYDは2023年1月から日本でも乗用車を販売しており、2025年6月末時点でこれまでに5305台を販売しています。
現在はBEVのみの展開となっていますが、2025年末には日本向けに販売するPHEVを発表予定であったり、2026年後半には日本市場専用設計の軽規格BEVも投入予定であったりと、他メーカーよりも日本市場に対する本気度を明確にしています。
日本市場以外にも、BYDはすでに欧州や東南アジア、オセアニアといった地域に加え、東アジアでは香港や韓国などでも乗用車を販売しています。
アメリカ地域ではメキシコや南アメリカ諸国に進出し、それぞれの地域の需要に合った車種展開を広げています。
また、販売だけでなく各地域での生産も進めており、すでにウズベキスタンやタイ、インド、ブラジルでは生産を開始、トルコやカンボジア、インドネシアにも工場を建設中です。
そんな海外展開を進めるBYDですが、2025年6月下旬にメキシコで新たなモデルを発表しました。
発表されたのはM9というミニバンで、2025年初頭から中国で販売されている「夏」の海外向けモデルとなります。
ボディサイズは全長5145 mm x 全幅1970 mm x 全高1805 mm、ホイールベースが3045 mmとなり、レクサスのミニバン「LM」と比較して若干ワイドとなっています。
M9のエクステリアは「夏」とほぼ同じなものの、フロントマスクではグリルのメッキ加飾が若干異なったり、グリル上にある「夏」エンブレムが「BYD」エンブレムに変更されるなど多少の違いがあります。
インテリアはBYD最新のデザイン言語を取り入れ、2+2+3レイアウトで7人が乗れる上質かつ広々とした空間を実現しています。
12.3インチのインストルメントパネル用ディスプレイと15.6インチのセンターディスプレイを搭載する一方、「夏」の上位グレードに設定されている12.3インチの助手席用ディスプレイはM9では搭載されていません。
M9のパワートレインは出力154 hp・トルク225 NmのBYD製472ZQB型1.5リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載するPHEVとなります。
このエンジンに268 hp・315 Nmのフロントモーターと容量20.39 kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を組み合わせ、総合航続距離は945 km(NEDC方式)を誇ります。
0-100 km/h加速は8.1秒と公表されており、2.5トン近い重量のミニバンにしてはかなり良い加速と言えるでしょう。
メキシコ向けに発表されたM9は容量20.39 kWhのバッテリーを搭載しますが、中国向けの「夏」では上位グレードとして容量36.6 kWhのバッテリーを搭載するモデルも展開、総合航続距離は1060 km(CLTC方式)としています。
「夏」はBYDのミニバンとして2022年に「デンツァ(騰勢)」ブランドより発売された「D9」に続くモデルですが、一方で中国国内の売れ行きはD9に遠く及びません。
「夏」は発売以来、毎月3000台前後を売り上げる一方、「D9」は毎月1万台近くを販売しており、PHEVに加えてBEVモデルも展開するD9の優位性が顕著です。
こういった事情もあり、BYDとしては「夏」を海外向けにも展開することで販売を伸ばす狙いがあるのでしょう。
「夏」は「M9」としてメキシコで発表されましたが、これ以外にもミニバン需要の高い東南アジアや欧州諸国でも販売される可能性があります。
日本でもM9が発売される可能性はゼロとは言えません。
先述の通り、BYDは日本にもPHEV車種を展開するとすでに発表しています。
日本市場におけるEV(含PHEV・BEV)のミニバンは現状トヨタ「アルファード」と「ヴェルファイア」のPHEVモデルしか存在せず、日本におけるEVミニバン市場はまだまだ競合が少ない状況です。
日本国内のBYDディーラーでは顧客からミニバンを求める声も多く受けており、そう遠くないうちに日本でもPHEVのミニバンを販売することが期待されます。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。











































































