トヨタが新型スポーツモデル「TOYOTA GT Concept」世界初公開! 同時に「Racing Concept」も!? トヨタの狙いは? V8サウンド!? モーター音も!? どんなクルマなのか、英国で披露
トヨタは英国のイベントで新型「TOYOTA GT Concept」とそれをベースにFIA GT3カテゴリーへの参戦を目指して開発中の「TOYOTA GT Racing Concept」を世界初公開しました。どのようなクルマなのでしょうか。
2025年7月10日にトヨタは以下の投稿をSNSに投稿しました。
「英国の“スピードの祭典”GOODWOOD #FOS に、新型スポーツ「TOYOTA GT Concept」とそれをベースにFIA GT3カテゴリーへの参戦を目指して開発中の「TOYOTA GT Racing Concept」が登場!全長約1.9kmのヒルクライムコースを歴代のチャンピオンマシンや名車が駆け抜けます。特別なカモフラージュをまとった2台にご注目ください」
これはかねてより開発されていたトヨタの新たなモデルで、このグッドウッドが世界初公開の場となったのです。
どのような背景で誕生するのか。自動車研究家の山本シンヤ氏が解説します。

TGRにとって厳しい戦いとなった2025年のル・マン24時間。グローバルモータースポーツディレクターの加地雅哉氏は、今後について筆者(山本シンヤ)に語ってくれました。
「更にステップアップするためには根本的に変えるチャレンジも必要でしょう。今のマシンで戦い抜けるとは思っていませんので。
加えて、今回発表した液体水素マシン(GR LH2 レーシングコンセプト)をモノにするには一朝一夕にはいかないのも理解していますので、WECの活動は中長期的に進めていくつもりでいます。
更にハイパーカーカテゴリーはドライバーにとって大きなステップになっています。
我々はGT3もやっていきますので、トップカテゴリーはピラミッドを作る上では大事な事。そう簡単にはやめません」
ちなみに今年のル・マン24時間のLMGT3クラスにレクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)が参戦していました。
ライバルと比べると古いモデルなので、「なぜ?」と思う人もいると思いますが、間違いなく“将来”を見越しての参戦でしょう。
その将来とは、2022年の東京オートサロンで初公開された「GR GT3コンセプト」の市販バージョンです。
この発表の場では、豊田章男社長(当時)からの指示は「勝てるクルマを作れ!!」の一言のみだったと言います。
それに対して、GRカンパニーの佐藤プレジデント(当時)は「GT3と本格的に向き合う」、「ユーザーに選んでいただけるクルマする」、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりを更に推進」と語っています。
要するに、GRヤリスと同じく「レースに勝つために、普段お客さまが乗るクルマとはどうあるべきか?」と言う発想で開発が行なわれており、GT3とロードカーは並行して開発が進められています。
これまでニュルをはじめとする世界のサーキットでのテスト走行が、様々なメディアを通じて発信されてきましたが、今回イギリスで行なわれる世界最大級のモータースポーツイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(グッドウッドFSO)」で、初めてファンの前でお披露目されました。
これまで「レクサスなのか? GRなのか?」と様々な憶測が飛び交っていましたが、その名称はロードモデルが「トヨタGTコンセプト」、GT3マシンが「トヨタGTレーシング・コンセプト」と発表されました。
これが仮称なのか正式名称かは現時点では解りませんが、筆者は1967年に登場した「トヨタ2000GT」のDNAが脈々と受け継がれたスポーツモデルである事を伝えたかったのだろうと分析しています。
ただ、車両全体を覆っている偽装シートやドライバーが着ているレーシングスーツの柄は、見ようによっては「L(=LEXUS)」にも「G(=GR)」にも見えるのは、気になる所ですが(笑)。
モリゾウこと豊田章男氏は、「トヨタのスポーツカー開発は“式年遷宮”かのごとく20年に一度、技術の伝承を含めて行なわれてきました。しかし、20年に一度開発すればいいのでなく、それに繋がる様々挑戦を日々行なっています」と語っています。
トヨタのフラッグシップスポーツを振り返ると、2000GT(1967年)、A80スープラ(1993年)、レクサスLFA(2010年)が登場していますが、“そろそろ”な言う時期に来ていると言うわけです。
グッドウッドFOSの「X」に投稿された映像を見ると、グッドウッドエステートの広大な敷地の中に設けられたヒルクライムコース(約1.856km)をトヨタGTコンセプト/トヨタGTレーシング・コンセプトの2台は仲良くランデブー走行。
その姿はル・マン24時間やニュル24時間のファイナルラップのように見えたのは、筆者だけではないかもしれません。
もちろん全開走行ではなく、その姿をファンにジックリ見てもらうためにゆっくりと走行。
エクステリアはロングノーズショートデッキ、フロントミドシップのFRレイアウトと言うパッケージは共通ですが、ロードカーに対してGT3は前後のバンパー(より機能を追求)やボンネット(ダクトの位置が異なる)、エアロパーツ(より空力を考慮したデザイン)、ホイール(ロードバージョンのほうが大径)などが異なります。
エンジン回転はそれほど上げずに走行していたようですが、聞こえてくるエンジン音はレクサスLFAの「天使の咆哮」に対して「野獣の囁き」と言った低音が効いた図太いサウンド。
現時点で詳細なスペックは未公開ですが、パワートレインはGT3のトレンドを考えると4リッターV8ツインターボの説が濃厚です
ちなみに実は2020年のニュル24時間に参戦予定(コロナで断念)だったLCの先行開発モデルのリリースを見ると、「新開発V8ツインターボ搭載」と。
このユニットはその後も世に出ていない事を踏まえると、このユニットもしくはその発展形と予想できるでしょう。
その一方で、ある自動車メディアがヒルクライムのゴール地点で待機するロードバージョンを捉えた映像には、音を立てずにスーッと走り始めるシーンも。もしかして、ハイブリッドもあるのでしょうか。
このマシンを現地でドライブした石浦宏明選手は、自信の「X」に同じレーシングスーツを身に纏った蒲生尚弥/片岡龍也/中嶋一貴/豊田大輔選手とのセルフィと共に、「イギリスのグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでこの車たちをドライブできてとても光栄です!スパイショットじゃなくて、ついにみなさんさんの前で走る日が来ました。 詳しい発表があるまでもう少し楽しみに待っていてください」と投稿。
片岡選手も「素晴らしいイベントに参加できて光栄です!」と投稿しています。
以前、TGRのある関係者が一部のモータースポーツメディアに対して、「このマシンが2026年にヨーロッパでレースをする事になる」と語っていますが、それはどこなのでしょうか。
実は以前、モリゾウ氏は筆者にこんな事を語ってくれたことがありました。
「僕の夢は、ROOKIE Racingが富士/ル・マン/ニュルの24時間レースを3連覇すること」
そんな夢が叶う可能性があるモデル、ロードカー/GT3共に正式発表が楽しみです。




























































