恐怖!? 「1ミリも溝がないタイヤ」のダンプを“検挙”! 悪質「過積載」×「整備不良」の“役満”違反に「やめましょう!」 止まれない・スリップ事故する「違法車両」を取締 茨城
茨城県警は公式SNSで、過積載とともに整備不良も同時に取り締まりしていると発表しました。投稿では整備不良となった過積載車の画像も添付し、注意を呼びかけています。
過積載で「溝なしタイヤ」装着のダンプを検挙
茨城県警は2025年7月3日、公式SNSを更新。横行する過積載車の取り締まりの際、整備不良もチェックをしていると発表しました。
また、投稿では整備不良となった過積載車の画像も添付しています。一体どういうことなのでしょうか。

過積載は、トラックやダンプなどの貨物車で決まっている「最大積載量」をオーバーした状態を指します。
過積載になると、走行時に想定外の遠心力が働き、バランスを崩してスリップすることや、横風にあおられやすくなり、横転や転覆などの大事故に発展することがあります。
またブレーキの効きも、重量増に伴う「慣性の法則」に従って非常に悪くなります。もし人が飛び出してきたら、正しい積載では止まれたかもしれない地点からオーバーランして、はねてしまうかもしれません。
衝突するエネルギーも同じく物理の法則から比例して大きくなり、衝突した相手に与える損害も拡大して、軽度の衝突事故だったのが重大事故になる可能性もあります。
さらに、異常な重さは道路にも負担をかけ、橋や高架を傷めつけ、小さな凹みをどんどん広げたり、近隣住民に騒音と振動という苦痛をあたえます。
そして、実は過積載はじわじわトラック本体にも影響を及ぼします。
最大積載量という「想定の重さ」を超えているということは、その分「重たくて走りにくい」状態になるので、アクセルを目一杯踏んで燃費を悪くするとともに、エンジンやトランスミッションといったパワートレインにかなりの負荷をかけます。
パワートレイン以外にも、車体の基礎となるシャシが長期の負担で折損することもあります。その場合は走行不能になるので、立ち往生してやはり周囲に迷惑をかけます。
そして、タイヤにも大きな負担をかけます。タイヤも積載量をオーバーすることは想定していないので、重さに絶えきれず、潰れた状態で走ることになります。
これは空気圧が足りない状態と同じで、異常加熱してバーストするときもあるほか、押し付けられる力が強いため摩耗も激しくなり、その摩耗も全体ではなく偏ったすり減り方になるのです。
タイヤがすり減って溝がなくなると、ブレーキの効きの悪さに拍車をかけるとともに、濡れた路面ではタイヤ表面の水分を除去できず、水の膜を張った状態でスリップ事故に至る可能性もあります。
実は過積載車両では、こうしたタイヤの異常も多く、なかには溝がすっかりなくなって、車検に通らない「整備不良」の状態になっている場合もあります。
今回茨城県警が投稿したものには、まさに「1ミリも溝が残っていない」タイヤの過積載車両で、こちらは過積載とともに整備不良で検挙したようです。
ちなみに整備不良では残り溝1.6mmを表す“即交換”サイン「スリップサイン」が出ていると、整備不良で違反点数2点、大型車では1万2000円の反則金が科せられます。
県警は、「過積載の車両はタイヤがつぶれ、摩耗が早くなります。溝のないタイヤはバーストの危険や制動距離が長くなることで事故の危険が増します。過積載は絶対にやめましょう!」と強い警鐘を鳴らしています。
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過積載が横行している背景には、「この荷物を何時までに何処何処へ運べ」と仕事を依頼した「荷主」の立場が非常に強いことも要因です。
ドライバーや運送会社が「これは過積載になるかもしれない」判断をしても、下請けであることから荷主に逆らえず、仕方なく過積載になってしまっているケースもあるのです。
もしここで「この量は過積載だからうちは運べない」と断ってしまうと、契約を打ち切られたり、報酬の減額を迫ってくるのです。
そのため、悪質な過積載に対しては、ドライバーや運送会社だけでなく、荷主にも責任が追及されます。
なお、茨城県警では国道を中心に過積載の取り締まりを強化しており、過積載疑いのクルマをパトカーや白バイで発見しているほか、高速の出入り口などに抜き打ちで測定器を設置して、その場での検挙を実施。
過去には過積載疑いのある車両をヘリで上空から追跡するといったことも行っています。
なかでも土砂や残土などといった産廃運搬に関しては県と合同で捜査を進めており、荷主の正体や産廃の出どころ、行先を特定し、検挙する方針です。















































































