日産の斬新「“2列6人乗り”ワゴン」に注目! 全長4.3m“ちょうどいいボディ”&「前席に3人乗れる」シート採用! メーカー初「低燃費パワトレ」も魅力の「ティーノ」ってどんなクルマ?

シートアレンジの多彩さや車内空間の広さなどからファミリー層などに人気のあるハイトワゴンですが、かつて日産では「ティーノ」という、なんと前列に3人も座れるコンパクトカーを販売していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。

斬新なシート配置を持つワゴンとは?

 近年、スズキ「スペーシア」やホンダ「N-BOX」などのハイトワゴンがファミリー層を中心に人気を集めています。

 そんななか、かつて日産は斬新なシートアレンジが可能なハイトワゴンを展開していました。

コンパクトなボディなのに2列6人乗り!日産「ティーノ」とは?
コンパクトなボディなのに2列6人乗り!日産「ティーノ」とは?

 そのモデルとは「ティーノ」です。

 同車は1998年12月に「オールマイティーノ。」のキャッチコピーで登場。

 ファミリー層を中心に、日常の使い勝手を重視するユーザーのニーズに応えるべく開発されました。

 なお、ティーノの車名はスペイン語の「Tino」に由来し、「判断の正しさ」や「理性」を意味します。

 ティーノの最大の特徴は、2列シートで6人乗りが可能なユニークなシート配置です。

 2列6人乗りのコンパクトカーは他メーカーからも少数販売されていましたが、現在ではどのメーカーもこの仕様を採用していません。

 2004年に登場したホンダ「エディックス」も同様の2列6人乗りでしたが、ティーノは前席がベンチシート、後席が独立シートという他に類を見ないレイアウトで、非常に大胆なモデルだったことがわかります。

 ボディサイズは全長4270mm×全幅1760mm×全高1610mm。

 当時の日産「サニー」のプラットフォームを活用し、全長を抑えて取り回しの良さを実現しつつ、全幅と全高にゆとりを持たせることで広々とした車内空間を確保しました。

 また、コラムシフトや足踏み式パーキングブレーキを採用することで前席の足元にゆとりを持たせ、車内を自由に移動できるウォークスルー機能を実現。

 ワイド・ショート・ハイトな独特のプロポーションが、快適な室内空間を生み出しました。

 荷室にも特徴があり、後席は車検証の記載変更なしで脱着が可能。

 全ての後席を取り外せば非常に広いラゲッジスペースが出現します。

 シート取り外しに工具は不要で、大きな荷物を積みたい場合でも簡単にシートアレンジができます。

 エクステリアは、丸みを帯びた優しいフォルムが印象的です。

 当時の日産車に多く見られたウインググリルを採用し、角のないヨーロッパ車のようなスタイリッシュなデザインが目を引きます。

 パワーユニットは、2リッター直列4気筒エンジンにCVTを組み合わせたモデルと、1.8リッター直列4気筒エンジンに4速ATを組み合わせたモデルの2種類が用意されていました。

 発売時の価格は、1.8リッター車が169万7000円、2リッター車が189万6000円でした。

 さらに特筆すべきは、2000年に「ティーノハイブリッド」が100台限定で販売されたことです。

 これは日産初の一般販売用ハイブリッド車で、低回転でトルクの大きいモーター(EM29型)を使用した発進と、低燃費な速度域で主に稼働するQG18DE型エンジンを組み合わせたシステムを採用。

 伝達効率の高いCVTとの組み合わせにより、10・15モード燃費で23km/Lという当時としては優れた低燃費を実現しました。

 2002年のマイナーチェンジでは6人乗り仕様が廃止され、前席2人、後席3人の5人乗り仕様のみとなりました。

 しかし、同時期に販売されていた2列5人乗りや3列6人乗りのモデルとの競争の中で苦戦し、2003年に日本での販売が終了しました。

 現在、中古市場ではグレードにより価格に幅がありますが、車体本体価格は10万円から50万円程度が目安です。

 販売終了から20年以上が経過した今も、ティーノはその独自性から一部のファンに根強い支持を受けているようです。

【画像】「えっ…マジ!?」 これが「前席3人乗り仕様」の斬新ワゴンです!(30枚以上)

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Writer: 紫苑玲

栃木県在住。新車、軽貨物、車の中古買取相場、テック、金相場などのジャンルで記事を執筆するフリーランスライター。ドライブが趣味。SUVとスポーツカーの2台を使い分け中。自宅前が登山道のため、緊張感がある車生活を送っている。

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