乗ってないし… オイル交換しないとどうなる? クルマの「血液」劣化のリスクとは

クルマのエンジンオイルを、車検まで交換することがないという人がいるかもしれません。エンジンとエンジンオイルの関係は、人間でいう心臓と血液にたとえられることがありますが、オイルをそのままにしておくことには、どのようなリスクがあるのでしょうか。

「あまり乗らない」も実はエンジンにとって過酷?

 エンジンオイルは走行距離1万~1万5000kmごと、または1年ごとなどと、定期的に交換することが自動車メーカーから推奨されています。しかし、車検まで交換することがないという人もいるかもしれません。エンジンとエンジンオイルの関係は、人間でいう心臓と血液にたとえられることがありますが、オイルをそのままにしておくことには、どのようなリスクがあるのでしょうか。

エンジンオイルの圧力に異常がある場合に点灯する油圧警告灯。そのまま走行するとエンジンが焼き付く恐れも。赤い点滅は緊急性が高いもの。

 エンジンオイルをそのままにしておくと、どのようなことが起こるのでしょうか。カー用品総合専門店「オートバックス」を運営するオートバックスセブン(東京都江東区)に聞きました。

――エンジンオイルを交換しないままだと、どうなるのでしょうか?

 ごく単純にいうと、(オーバーヒートなどを起こし)エンジンが壊れる可能性があります。エンジンオイルには、金属摩耗を抑えてエンジンをスムーズに動かす「潤滑」、エンジンの気密性を保つ「密封」、エンジンの熱を吸収する「冷却」、エンジンの燃焼で生じる汚れを取り込む「洗浄」、そしてサビを防ぐ「防錆(ぼうせい)」という5つの効果があり、この作用がひとつ欠けても、エンジン本来の機能が損なわれてしまいます。パワーや燃費といったエンジンの性能も、エンジンオイルがあってこそ発揮されるものです。

――あまり乗っていないくても、交換したほうがよいのでしょうか?

 はい。エンジンオイルは量が減らなくても酸化し、本来の性能が損なわれていきます。各自動車メーカーが交換の目安としている年月や走行距離がありますが、これはあくまで「ノーマルコンディション」での走行で、「シビアコンディション」ではその半分と考えてよいでしょう。シビアコンディションというのは、たとえば悪路や雪道、ブレーキの使用回数が多い坂道、30km/h以下の低速走行、アイドリングやエンジンのオン/オフが多い短距離の繰り返し走行などが、そのクルマの走行距離の30%以上を占める場合をいいます。

 長距離走行でエンジンを酷使する環境だけでなく、買い物などの短距離移動が中心で、あまり乗らないというケースも、シビアコンディションに該当します。この場合、メーカー推奨の交換サイクルが走行1万kmであれば5000km、1年に1回であれば半年を目安にしたほうがよいでしょう。これは車種によっても異なり、ターボを搭載したクルマであればさらにその半分が交換サイクルの目安です。

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