遅すぎ? 時代には合わない? 道路の「速度規制」は誰がどう決めるのか

クルマはかなりスピードが出る乗り物ですが、実際にはサーキットなどでない限り安全のため、道路によって出せる速度が規制されています。この「速度規制」はどのように決められるのでしょうか?

誰が決めている? 速度規制について警察庁に聞いてみた

 クルマはかなりのスピードが出る乗り物ですが、実際にはサーキットなどでない限り、走行する道路によって出せる速度が制限されています。交通量を含めた道路環境に応じて、安全な速度に規制する必要があるからです。この「速度規制」はどのように決められるのでしょうか?

55年前から基本「時速100キロ規制」が変わらない日本の高速道路

 道幅が広く見通しの良い高速道路や幹線道路では、規制される速度が不自然に低く感じることがあります。また狭い裏通りなどでは、規制されている速度が高すぎて、規制速度で走ると危険に思えることもあります。規制速度を下まわって走っても違反にはなりませんが、安全面を考えると、危険な場所などは規制速度をさらに低くすべきです。

 そこで速度規制について、警察庁に聞いてみました。

 まず規制する速度は誰が決めているのでしょうか。市街地などは、その地域の交通環境に精通していないと、正確な規制速度を決めることができません。

 この点について警察庁は「速度規制の実施については、各都道府県の公安委員会が、各地域における交通状況などを総合的に勘案して、実施しています」といいます。

 速度規制について警察庁では、市街地の2車線道路は時速40キロか50キロ、4車線以上の非市街地は時速50キロか60キロを基本としています。この規制速度を、どのような方法で決めているのかも気になります。速度規制を決める「85パーセンタイル」も分かりにくいです。この点も尋ねました。

「現在の一般道路における最高速度規制の実施基準は、平成18~21年度の有識者委員会による調査研究を経て策定されました。具体的には、警察が保有する速度感知機から得られる実勢速度(道路を実際に走っている速度)、交通事故のデータ、交通規制情報、平成17年度道路交通センサスから得られる交通現況、道路構造や沿道土地利用状況の現地調査、その統計分析を行うことにより、各道路環境ごとの最適な基準速度を算出しております。

 なお85パーセンタイル速度とは、ある区間を走行する車両の速度を低い順番から並べた場合に、全体の85%が含まれる速度の値を示しています」とのことでした。

 85パーセンタイル速度については、車両の速度を低い順番から並べて全体の85%が含まれるなら、多くのユーザーが納得できて安全性も守られるという考え方のようです。

 市街地の速度規制では、低速域が粗い印象を受けます。裏道など時速30キロでは高すぎるが、時速20キロでは低く、時速25キロが妥当に感じる場所もあります。それなのに日本の速度規制は時速10キロ刻みで設定され、大雑把な印象を受けます。この点も聞いてみました。

「運転者に対して、できる限り簡単明瞭な交通規制とするために、『交通規制基準』において、規制速度値は時速10キロを単位として指定することにしています」とのことです。

 要は分かりやすくするために、時速10キロが単位になっていますが、速度が下がると正確性や綿密性に欠けます。海外には速度規制値を細かく設定している地域も多く、そうなれば示される速度の信頼性も高まります。

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