日産「“4人乗り”超高級セダン」がスゴい! V8 4.5リッター×「超豪華リアシート」! 極上“ツルツルボディ”もカッコいい「NEO-X」とは

走りも楽しいハイテク高級セダンに来場者も大興奮

 NEO-Xは、内装も見所がいっぱいでした。

 エクステリア同様に要素を少なくしたデザインで、後席を左右独立タイプとしたため定員は4名。前後シートは同じような形状とされ、一体感を生み出しています。

会場の熱気が伝わってくる! 第28回「東京モーターショー」に出展された「NEO-X」(手前)
会場の熱気が伝わってくる! 第28回「東京モーターショー」に出展された「NEO-X」(手前)

 インテリアは暖色系クリーム色基調のカラーリング。外装に応じたかのようにシンプルなダッシュボードも同じ色調です。

 情報の表示・操作系も最小限で、ドライバー前のデジタルメーターと可動式のセンターディスプレイが見られるのみ。カーナビや各部設定・調整・確認の機能を持つセンターディスプレイはブラウン管(!)というのが時代を感じさせますが、当時では最先端のタッチ式操作を可能としていました。

 オートマチックトランスミッションのシフトノブは、ステアリングポスト左側に小さく設置。液晶ガラスでできたルーフは、調光式で透過率制御することも可能でした。これらも、現在の市販車で見られる装備です。

 NEO-Xのメカニズムは、「技術の日産」の最先端技術で構成されました。

 エンジンはインフィニティQ45用のV8「VH45DE」型を選択。組み合わせるトランスミッションは5速オートマチックで、機械的な機構を用いないバイワイヤ式を採用していました。

 最高出力280psのパワーは、後輪に電子制御LSDを組み込んだ電子制御式トルクスプリット4WDで路面に伝えられます。

 サスペンションにはアクティブサスペンションを、操舵系には4WSであるアクティブステアリングを装備しており、これらパワートレーン、サスペンション、そしてステアリング・ブレーキなどをネットワーク化した「統合制御システム」を搭載したNEO-Xは、快適性・乗り心地と優れたハンドリングを実現したとうたわれていました。

 ハイテク装備はこれだけにとどまりません。ドアミラーに接近するクルマが来ることを知らせる側後方警戒レーダー、電動パーキングブレーキ、ヘッドアップディスプレイなど、現代のクルマにも通じる装備が盛り込まれていました。

 インフィニティQ45の進化版ともいえたNEO-Xですが、コンセプトカーの域を出ぬまま市販化はされませんでした。

 しかし開発された技術はその後磨かれて現在に至っているほか、デザイン面では、後部に向かって優雅に落ちてゆくサイドビューが2代目「シーマ」に受け継がれているようにも思います。

※ ※ ※

 日本の文化や価値が世界的に浸透し、「日本らしさ」が理解されつつある現代だからこそ、NEO-Xのように華美さを一切排除した、人々の心に訴えかけてくるような高級セダンを望んでいる人も多いのではないでしょうか。

 消滅して久しい日産の大型高級車がもし復活する際には、NEO-Xが見せた新しい価値が盛り込まれるかもしれません。

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Writer: 遠藤イヅル

1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。

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