日産「高級ラージSUV」何がスゴい? “GT-R系”のV6ターボエンジン搭載! 日本導入に期待がかかる「パトロール」が強敵「ランクル」に勝る4つのポイントとは!
GT-Rの流れを汲むV6ターボエンジン搭載!
3つ目が「ランクル300よりもパワフルなエンジン」。
パトロールに搭載するエンジンは2タイプあり、どちらもV型6気筒で、排気量3.8リッターの自然吸気と排気量3.5リッターのターボです。
注目は新設計となる後者の3リッターV型6気筒ターボで、「VR35DDTT」という型式は、その名の通り「GT-R」や「スカイライン 400R」そして「フェアレディZ」用のV型6気筒ターボエンジンの流れを汲むスポーツユニットです。
ひとことでいえばスカイライン400RやフェアレディZ用3リッターエンジン(VR30DDTT)の排気量アップ版。ボアは共通で、ストロークを増やして排気量アップしたエンジンといっていいでしょう。
そう聞けば、エンジンのフィーリングも味わい深いことは想像に難くないはず。はっきりいって気持ちのいいエンジンです。
最高出力は431ps(425hp)、そして最大トルクは700Nm。ランクル300に搭載される3.5リッターV型6気筒ガソリンターボエンジンが最高出力415ps、最大トルク650Nmですから、エンジンパワーとトルクは「ランクル300超え」なのです。

最後が「ランクル300よりも高いオンロード性能」です。
筆者は昨年のサウジアラビアで感じたのはオンロード性能の高さです。
舗装路でも重心の高さを感じないリニアなハンドリングを持ち、安定感あふれる走りをするという意味で、「今どきのSUV」なのです。とてもラダーフレームのモデルとは思えないほどでした。
サウジアラビアの試乗では日本の制限速度をはるかに超える領域での走りを試すこともできましたが、そんな状況でも何の不安もなく巡航できることに感動。
舗装路における高速コーナリングがフラフラだったかつての“ヨンク”とは違い、パトロール(現地で試乗車したのはエアサスペンション装着車)の安定感は抜群なのです。
今回の試乗でも、オンロードでの走りは、サスペンション設計などで悪路を最優先しているランクル300とはベクトルの異なる印象でした。
というとパトロールはオフロードを軽視していると思うかもしれませんが、決してそんなことはありませんのでご安心を。
サウジアラビアでは、パトロールで極悪路や砂漠も走りましたが、その走破性能もハイレベル。舗装路の安定性を高めた分だけオフロード走破性がおろそかになっているかといえば、決してそんなことはなく、オンロード性能とオフロード性能の両立のレベルが極めて高いクルマなのです。
このように、パトロールはランクル300よりも勝っているポイントがけっこうあります。
もちろんクルマは「勝っているからいい商品」というわけではありません。
しかし、少なくとも日本の日産ファンやクルマ好きをもワクワクさせるパワーを秘めているクルマであることは間違いないでしょう。
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そんなパトロールですが、現時点では日本導入の予定がありません。しかし、生産は日本の工場(九州工場)であり、右ハンドル仕様(オーストラリア向け)だって存在します。
ということは、日本市場への投入にあたってのハード面でのハードルはそれほど高くないと言えます。
日産から聞こえてくる声も、かつては「まだ(日本へ導入するかを)検討する段階にもない」だったのが、最近は「検討し始めている」へと変化してきました。あとは、ファンの声が背中を押すことになるのではないでしょうか。
もちろん、パトロールが日本で販売されても多く売れる車種というわけではありません(中東では想定以上の人気となり増産が決まっている)。
しかし、1台売ればしっかりと利益が出るような価格設定にするとともに、日産ファンを育てるフラッグシップとなれば、パトロールを日本市場へ投入する意義はしっかりあるのではないでしょうか。今回の試乗を通して、筆者はそう考えています。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。





























































