日産「新型スカイライン」登場へ! 高性能な「セダン」!? SUVモデル「クロスオーバー」復活!? 話題の「新モデル」登場説なぜ浮上した? どんなクルマになる?

日産は2025年5月13日、経営再建計画「Re:Nissan」のなかで“新型スカイライン”の登場を明言しました。どのようなモデルになるのでしょうか。

日産新型「スカイライン」登場へ! プラットフォームを共有する“2台”とは

 2025年5月13日に日産は、2024年年度の決算を発表しました。その内容は、巨額の赤字や、2万人のリストラ、生産拠点の縮小など、驚くばかりのものでした。 

 また、その中で、新車の開発を刷新するという説明もありました。それが新たな開発プロセスとなる「ファミリー開発コンセプト」です。

 その導入により新型「スカイライン」、新型「グローバルCセグメントSUV」、そして新型「インフィニティ・コンパクトSUV」の3モデルが開発されていると明かされました。

次期型スカイラインと噂されていた「ヴィジョンQE」
次期型スカイラインと噂されていた「ヴィジョンQE」

 ただし、残念なことに、肝心かなめのファミリー開発コンセプトの詳しい内容はありませんでした。では、ファミリー開発コンセプトとは一体、どのようなもので、そこで開発される3つの新型モデルは、どのような内容なのだろうでしょうか。

 ヒントとなるのは、2024年3月に発表された経営計画「The Arc」にありました。「EVの競争力」として、ファミリー開発を導入すると説明されています。

 内容としては「ファミリー開発では、メインモデルをベースに開発する後継モデルの開発費を50%、トリム部品のバリエーションを70%削減し、開発期間を4か月短縮します」とあります。

 コアとなるメインモデルを先に開発して、後継モデルの手間暇費用を削減するという内容です。複数の車種をファミリーのように開発するという手法と考えることができます。マツダの実施している「一括企画」(複数の車種を一括で企画・開発する)と同じような考えです。

 同じプラットフォームやパワートレインを使いながらも、セダンやSUVと言った複数のモデルを開発することになりますから、説明にて挙げられた3つのモデルは、兄弟車のような関係になります。

 マツダで言えば、ハッチバックの「マツダ3」と、クロスオーバーの「CX-30」という2台を一括で開発していると同じ事になります。

 セダンがスカイラインであり、そのSUV版で日産ブランドがCセグメントSUVでインフィニティブランドがンパクトSUVと予想できます。ちなみに、現行スカイラインであるV37型は、2013年にデビューしており、そのインフィニティ版は「Q50」と呼ばれています。

 さらにインフィニティには、同じサイズ感のSUVである「QX50」と「QX55」が存在します。QX50オーソドックスなSUVで、QX55がクーペSUVです。

 また、日産のCセグメントSUVといえば、「エクストレイル/ローグ」が存在するけれど、今回の説明では「新たなモデル」と強調されていたところから、まったくの新型モデルになるのかもしれません。

 そういえば、かつて日産は「スカイライン・クロスオーバー」という、スカイラインの派生モデルを先代時代の2009年に発売していました。そうした存在が、もう一度、復活するのかもしれません。

 どちらにせよ、この新しいプロセスにより、日産は新型モデルの開発期間を短縮すると説明しています。従来、新型モデルの開発には約60か月(約5年)かかると言われていました。

 それを、ファミリー開発コンセプトでは、まったくの新規モデルで37か月(約3年)、後続モデルで30か月(2年半)となるそうです。となれば、今から開発をスタートさせたとすれば、30か月後は2027年11月であり、37か月後は2028年6月になります。

 2年も3年も先となると、なかなか時流が見えないというのは正直なところです。それでも2028年は、次世代バッテリーとなる全固体電池が実用化されるとされる時期となります。

 それを考えれば、新型スカイライン、CセグメントSUV、インフィニティ・コンパクトSUVの3台は、そうした次世代バッテリーを搭載した高性能BEVであってもおかしくはありません。

 逆に「BEV普及のスピードが、かつての予想よりも遅く、2028年ごろでもハイブリッドが大きな存在である」と日産が予測する可能性もあります。

 そうなれば、日産が3モデルをハイブリッドやPHEVとして開発されるかもしれません。または、含みを残して、BEV、ハイブリッド、PHEVの3つのバリエーションを揃えて開発するかもしれません。

 また、今回の決算において、日産CEOのイヴァン・エスピノーサ氏は、日産車の商品ラインナップは「既存ユーザー向けのコアモデル」「新規ユーザー向けの成長モデル」「アイコニックなハートビート・モデル」、そして「パートナーからの補完」という4種類になると説明していました。

「コアモデル」として例に挙げられていたのはエクストレイルや「セレナ」であり、「成長モデル」はBEVの「アリア」や「サクラ」。そして最後の「ハートビート・モデル」にはスカイラインが提示されていました。

 つまり、どのようなパワートレインになろうともスカイラインと名付けたからには、ハートビートを感じさせるワクワクしたモデルになることは間違いありません。

 2025年、2026年と苦しいリストラ期を越えた先には、ハートビートな新型スカイラインと、その兄弟とも言えるCセグメントSUV、インフィニティ・コンパクトSUVが登場するというシナリオです。楽しみに3年先を待ちましょう。

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Writer: 鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。

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