大迷惑な“重量オーバー”トラックを「一斉検挙」! 荷台かさ上げ“過積載仕様”には「クルマを直しなさい!」命令も!? 違法産廃トラックの「過積載取り締まり」を実施 茨城

茨城県警は公式SNSで、過積載取り締まりの実施状況を明らかにしました。

荷台かさ上げで“過積載仕様”にする悪質トラックも

 茨城県警は2025年5月20日までに公式SNSを更新。過積載取り締まりの実施状況を明らかにしました。

 なかには過積載をしやすいように不正改造する悪質なトラックもいたといいます。一体どういうことなのでしょうか。

トラックのイメージ(画像:写真AC/検挙された過積載車両とは無関係です)
トラックのイメージ(画像:写真AC/検挙された過積載車両とは無関係です)

 トラックやダンプなどで、「最大積載量」をオーバーした過積載が横行しています。

 ジェンガのように廃材を山積みして、今にもこぼれ落ちそうな状態で走るのは論外ですが、そんな山積みではなくても過積載になることがあります。

 過積載の目安ですが、東京都では「一般的に土砂の最大積載量は、ほぼ荷台の高さ」だといいます。つまり、荷台より上に「土が盛り上がっている」時点で、すでに過積載の可能性が高いということです。

 そもそも、過積載はなぜ危険なのでしょう。

 まず、想定より重たい荷物を積んでいると、物理の「慣性の法則」がはたらき、「ブレーキの効きが悪くなる」という問題があります。物理の法則なので、どうしようもありません。

 全日本トラック協会の資料によると、80km/hで走行している10トントラックで最大積載量上限の10トンを積んでいる場合、制動距離は50.3m。

 しかし、この同じトラックで80%過積載した18トン積みでは70.3mと、20mの延長になります。これは長さにして電車1両分、もしくは大型トラック2台分と相当です。

 もし過積載で人が飛び出してきたら、本来停まれた場所からはるか遠くまでオーバーランします。しかも、突っ込んでいくエネルギーも先程の物理の法則から、80%オーバーの質量に比例し、衝突した相手に与える損害も大きくなります。

 また、メーカーが設定上設けた「重さの上限」である「最大積載量」をオーバーしていると、重くて加速もしないことから、アクセルを目一杯踏んで、周囲に排気ガスと騒音を撒き散らし、トラック本体にも悪影響を与えます。

 トラックの車体やシャシ、タイヤには、想定以上の重さから負荷が大きくなり、エンジンやミッションなどの駆動系の寿命を縮め、燃費が悪化します。

 ひどい場合にはシャシが折損したり、タイヤが偏摩耗を起こしてバーストしたりして、突如立ち往生する可能性もあります。

 運転時は耐えられないほどの遠心力が働き、バランスを崩したり、横風にあおられやすくなり、横転や転覆事故に至ることもあります。

 さらに道路には、異常な重さのトラックが通過することで小さな凹みを徐々に広げ、大きな穴ぼこになったり、橋を傷めつけます。

 もし事故を起こせば、訴訟では過積載であった事実が厳しく追求されるでしょう。もしかすると「あそこのトラック会社に運送を任せないようにしよう」と、社会的な制裁を受けることもあるかもしれません。

 さらに、この処分は過積載車を運行していたドライバーや運送会社だけではなく、「この荷物を何時までに何処何処へ運べ」と依頼した“荷主”にも責任が追求されます。

 実際、ドライバーや運送会社よりも荷主のほうが立場が強いことから、「これは過積載になるかもしれない」と正しい判断をしても、荷主に逆らえずに渋々過積載しているという実態があるからです。

 何度も警告しているのに改善されない場合、数日から数年にわたってそのトラックを運転したり、運転させたりすることを禁ずる「使用制限処分」や、懲役または罰金刑が下ります。

 しかし、過積載は依然として全国で非常に多く行われており、ブレーキが効かずに突っ込んだ事故や、踏切で立ち往生して電車と衝突した事故なども起きています。

 今回、茨城県警では2025年5月、国道294号や国道354号を中心に、過積載の取り締まりを実施。白バイや覆面パトカーを活用し、国土交通省と連携して街頭検査を行いました。

 SNSでは20日までに5回にわたって取り締まり報告をするなど、異例の取り締まり強化体制に入っています。

 検査では、単に重量オーバーとなっているものだけではなく、荷台の幅を広げたり、荷台をかさ上げして過積載できる違法仕様に改造しているクルマも存在。

 さらに今まで過積載しすぎたせいで、タイヤが偏摩耗してしまったクルマもおり、こうしたトラックには、「整備命令」が発令されました。

 整備命令は、「15日以内に、保安基準に適合するように直して見せに来なさい」という内容の「整備命令書」が交付され、保安基準に適合するように整備したあと、最寄りの陸運局などにクルマなどを持っていき、保安基準に適合しているか確認を受ける必要があります。

 なお、茨城県警ではこれまでも、過積載を疑うクルマを見つけては測定所に連れていき、検挙しているほか、高速の出入り口などに抜き打ちで測定器を設置して、その場で検挙しています。

 特に産廃運搬に関しては目を光らせており、県と合同で過積載を行った荷主の正体や産廃の出どころ、行先の特定を進めています。

 茨城県警は「効率重視ではなく、重量制限を守って、大切な命と道路を守りましょう!」と呼びかけています。

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3件のコメント

  1. 「過積載」と簡単に言うが,記事の写真は全て「最大積載量超過」すなわち「重量オーバー」の取り締まりの様子と見られる。その証拠に取り締まりに当たっている人物が「タイヤの下にナニかを敷いている」。
    これは「ロードセル(ロードはroadじゃねぇぞ、loadなw)」で,可搬式の重量計測器と見られる。
    また,過積載の取締り・摘発は警察単独ではできず,国交省職員の立会が必要と聞いた。実はめんどくさいものらしい。
    この記事で問題なのは「木廃材を山のように積んだ車両を「過積載」の事例写真」として挙げていること。
    木材を積んだだけなら「最大積載重量オーバー」にはならないと思われる(土砂や鉄材とは比重や密度が違う)。
    「積載を規制するルール」には「最大積載重量」以外に「高さ,幅,長さ」を規制するものがある。
    長さと幅は「積載物」そのものの上限(長さは車長の20%増,幅は荷台幅の10%まで)と,車両に載せた状態のはみ出し制限(長さは前後に車長の10%以下,左右は荷台幅の5%以下までで左右均等)があったはずで,高さは「一律で3.8m(3.5mの場合もあり)以内」だったはず。
    この写真の車両は本当に「過積載」なのか?
    ※この状態でも「荷崩れ」や「落下物」が出たらアウトなのは当然の話。

  2. 忖度フィルタが入って、掲載拒否らしいので再掲する。
    —–
    物理だ慣性の法則だ言ってますけど、重量をパーセント増しで言っておきながら、結論をメートルで論じるのは何故?(文系の方なのかしら?)思ったより数字が伸びなかったので、印象操作でしょうか??(それか、全ト協の資料を意味も良く理解せずまるパクリ?)

  3. 茨城だけじゃなく全国で行って欲しい。軽バンで片腕を無くした事故もあったが、今だに営業しているなは何故か❓️

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