三菱「ランエボ“クーペ”」あった!? 精悍デザインの“ハイテク”4WDスポーツカー! まさかの「“ディーゼル”ターボ」搭載? 斬新すぎる「コンセプトRA」とは

三菱が2008年に発表したコンセプトカー「MITSUBISHI Concept-RA(コンセプトRA)」は、高性能4WDシステムを搭載した「ランエボクーペ」とも称され、今なお注目を集めます。どのようなクルマだったのでしょうか。

先進技術満載! 三菱の「スポーツクーペ」は「軽油」で走る!?

 三菱自動車工業(以下、三菱)が2008年1月のデトロイトモーターショーで初披露されたコンセプトカー「MITSUBISHI Concept-RA(以下、コンセプトRA)」は、発表から十数年が経過した今も日本の自動車ファンの間で話題となっています。

 高性能4WDスポーツセダン「ランサーエボリューションX(以下、ランエボX)」の高性能メカニズムを受け継いだクーペボディを持つこのモデルは、当時の三菱が目指した技術革新とデザインの方向性を示す象徴的な一台でした。

グラマラスなリアフェンダーがカッコいい! 三菱の「Concept-RA」とは!?
グラマラスなリアフェンダーがカッコいい! 三菱の「Concept-RA」とは!?

 コンセプトRAは、当時北米で販売されていたクーペモデル「エクリプス」の次期型を示唆するデザインスタディとして開発されました。

 しかしその内容は単なるデザイン提案にとどまらず、三菱の「走る歓び」と「環境への貢献」を高次元で両立することを目指した、先進技術のショーケースでした。

 クロスオーバーへの注力を強めていた当時の三菱ですが、このコンセプトカーは同社がスポーツカー開発にも情熱を注いでいたことを示しています。

 エクステリアは、力強さと流麗さを兼ね備えた2ドアクーペのフォルムが特徴です。

 フロントには当時のランエボXにも通じる逆スラントノーズと、三菱のデザインアイコンである台形のジェットファイターグリルを採用。リアのデザインもランエボXをモチーフとしていました。

 コンセプトカーらしく、ドアには上方へ開くバタフライドアが備わっていました。

 特に目を引くのはボンネットのデザインです。搭載エンジンの外観を大胆に造形し外部に露出させる斬新なアイデアが採用され、マットフラット塗装と相まって、メカニカルなイメージを強調しています。

 足元には大径21インチホイールが装着され、力強く張り出したホイールアーチとともに、スポーツ4WDの高い走行性能を視覚的に表現しています。

 パワーユニットには、当時新開発の2.2リッタークリーンディーゼルターボエンジン「4N14型」を搭載しています。

 可変バルブタイミング機構「MIVEC」やコモンレール式燃料噴射、ピエゾ式インジェクター、そしてVD/VGターボチャージャーといった先進技術を投入し、最高出力150kW(204PS)・最大トルク420Nmという高出力と高効率を実現。環境性能にも配慮したディーゼルスポーツカーという提案は当時非常に斬新でした。

 トランスミッションには、ランエボXにも採用された高効率な2ペダルMT「Twin Clutch SST」が組み合わされました。

 4WDの駆動システムには、三菱が誇る車両運動統合制御システム「S-AWC」(スーパーオールホイールコントロール)を搭載。これはランエボXの「ACD」、「AYC」、「スポーツABS」、「ASC」の4機構に加え、新たにアクティブステアリングとアクティブダンパーをも統合制御するものです。

 この進化したS-AWCは、4輪の駆動力と制動力を高度にコントロールし、様々な状況で優れた駆動性能、旋回性、安定性を発揮。ドライバーの意のままに操れる、まさにランエボのクーペ版と呼ぶにふさわしい走りを実現するとされました。

 さらにボディ構造には軽量化と高剛性を両立するアルミスペースフレームを採用するなど、走りへのこだわりが貫かれていました。

 多くの魅力と先進技術を搭載したコンセプトRAでしたが、残念ながらこのモデルが次期エクリプスとして市販されることはありませんでした。

 エクリプス自体も北米で販売されていた4代目が2012年に生産を終了。後継モデルは登場せず、三菱のラインナップからクーペモデルが消滅してしまったのです。

 しかし、コンセプトRAに搭載されたクリーンディーゼルエンジン「4N14型」は、その後2010年の欧州向け「アウトランダー」や2013年以降の「デリカD:5」などに搭載され、改良を重ねながら現在も三菱の主力ディーゼルエンジンとして活躍しています。

 コンセプトRAで示された技術は、形を変えて市販車に活かされているといえます。

 現在の三菱は、SUVを中心としたラインナップで販売面では好調ですが、往年のファンからは、コンセプトRAのような三菱らしいハイテクを満載したスポーツカーの再登場を期待する声も根強く存在します。

 市販化は叶わなかったものの、コンセプトRAが示した夢と技術は、色褪せることなく語り継がれています。

※ ※ ※

 2025年5月8日、三菱は2024年度通期決算を発表しました。

 その際、将来の商品展開に関する発表資料として、SUVやMPV(ミニバン)などの次世代ラインナップを示していましたが、残念ながらスポーツカーやクーペモデルなどの記述はありませんでした。

 SUVなども魅力的ですが、往年のランエボのようにスポーティな走りを実現するモデルの投入にも期待したいところです。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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