過去に死亡事故も…駐車場を爆走する「コンビニワープ」なぜ取り締まらない? 赤信号が嫌なので“私有地をショートカット” 法律ではどうなのか

法律で「コンビニワープ」検挙される? 実際どうなのか

 実は、道路交通法はこの「コンビニワープ」行為について、特段の禁止項目を設けていません。

コンビニのイメージ(画像:写真AC)。
コンビニのイメージ(画像:写真AC)。

 その理由は単純で、コンビニなどの敷地は、公道ではなく私有地だからです。道路交通法は不特定多数が行き交う公共の空間での危険防止が目的であり(第1条)、あくまで公道で適用されるものです。

 そして特に「コンビニワープ」を禁止するとなると、なかなか難しいのです。私有地内で取り締まりを行うことは無断であれば不法侵入ですし、公道上から監視するしかありません。

 では、コンビニ側で対策はできるのでしょうか。店を利用しないのに敷地内を通過するのは「住居侵入罪」(刑法第130条)に問われる可能性があります。

 この場合、無断で侵入したという主張が通りやすくなるよう、あらかじめ敷地内外に「店舗利用者以外は通行をご遠慮ください」といった告知がなされることが多いです。

 ※ ※ ※

 しかし、道路交通法は何も取り締まりだけを目的としていません。「事故が起きた場合に、加害者の不法性をとがめる」という司法判断に、重要な役目を果たします。

 たとえばいくら私有地だとして、駐車場で飲酒運転をして重大事故を起こしたらどうなるのでしょうか。駐車場をはじめ「不特定多数が行き交う、なかばパブリックな空間」では、道路交通法を適用すべき扱いとなる可能性もあります。

 さらに道路交通法では、対人事故を起こした場合に行政処分が下されます。法の目的にのっとり「自動車の運転によって他人に不利益を与えた」ことを重大視しているからです。この場合は私有地であろうと関係ありません。

 道路交通法第103条では「道路外致死傷」の項目があり、被害者の状態によって免許停止もしくは免許取消となります。

 被害が軽い順番に、治療期間が15日以上30日未満で「停止30日以上」。30日以上3か月未満で「停止60日以上」、3か月以上もしくは死亡・後遺障害の場合は「取消+欠格1年」という重い処分になります。

 さらに重大・悪質な案件では「自動車運転処罰法」で取り扱われることとなります。過失運転致死傷罪(第5条)が適用されれば7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金。危険運転致死傷罪(第2条)が適用されれば、致傷罪で15年以下の懲役、致死罪で1年以上の有期懲役となります。

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 では、コンビニ側で対策はできるのでしょうか。店を利用しないのに敷地内を通過するのは「住居侵入罪」(刑法第130条)に問われる可能性があります。

 この場合、無断で侵入したという主張が通りやすくなるよう、あらかじめ敷地内外に「店舗利用者以外は通行をご遠慮ください」といった告知がなされることが多いです。

 とはいえ、いざコンビニワープの現場を目撃したとして、そのまま数秒で通り過ぎてしまうため、警察が来て「御用」とはなりません。

 とあるコンビニオーナーは「駐車場を有料化して、コンビニを利用した客のみ、無料精算とする方法も考えました。しかし有料駐車場施設の導入にも多額のお金がかかるということで、結局実現できていません……」と話します。

「事故を起こしたら厳罰」という仕組みでは、「自分は事故を起こさないのでセーフ」という考えに逃げられてしまうだけです。事故を未然に防ぐという視点で、新たなルール作りが求められていくこととなりそうです。

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