ホンダ「CB1000R」は、コーナーが待ちきれない! 操作する楽しさがこの1台に凝縮

高回転まで淀みなく回る直4エンジン

 エンジンも高回転まで気持ちよく回ります。エンジン設計担当の山代隼人さん(本田技術研究所 二輪R&Dセンター)によると、「6000~8000回転で特にトルクが盛り上がる特性になっています」とのこと。

高回転まで気持ちよく回るエンジンを搭載

 その領域は公道で多用するところで、そのレンジが力強いと加速したいときもクイックに反応してくれるので、ライダーは扱いやすいと感じます。そのまま最高出力145馬力を発揮する1万500回転まで淀みなくパワーが盛り上がっていき、その加速感は強烈です。

 そしてエンジンサウンドもまた胸のすくもので、これが純正ノーマルマフラーかと耳を疑いたくなります。通常のサイレンサーは内部を仕切り板によって3つほどの小部屋に分け、それをパイプで繋いだ多段膨張式を採用しています。

 狭い所から広い所に排ガスを出して消音する膨張を利用していて、ガスが膨張室に入るごとにエネルギーを発散し、音量を削減していく仕組みです。少しずつ膨張させるためにサイレンサー内部でUターンさせるなど複雑な経路をつくって、限られたスペース内で効果的に消音させていますが、「CB1000R」では高揚感を誘うよう音にもこだわりました。サイレンサー内部を3室構造ではなくシンプルな2室構造とし、さらに膨張室を介さず大気開放する抜け穴も設けたのです。

 アクセルを開けると直列4気筒エンジンらしい、伸びやかな吹け上がり感のある音が楽しめ、これだけでもうバイク好きにはたまりません。

ビッグバイクなのに思い通りに操れる

 ハンドリングも軽快で、旋回時には思い通りにコーナーを駆け抜けることができます。排気量1000ccもあるビッグバイクだと性能を持て余すのが通常で、バイクを自在に操っている感覚を得るのが難しいのですが、コーナーの入口では意図したままに車体が寝てくれ、落ち着いたまま余裕を持ってフロントから向きをグイグイ変えてくれます。

コーナー入り口で意図した通りに車体が向きを変える

 加減速時もリアサスペンションの過剰な縮み込みなどがなく、車体は絶えず安定したまま。前後サスペンションは速度が低いうちはソフトに動きますが、強い衝撃を受けたり、旋回中に負荷をかけたときはしっかり踏ん張ってくれ、操縦安定性担当の高柴 宏明さん(本田技術研究所 二輪R&Dセンター)は「猫のようにしなやかに動く足まわり」と表現しますが、まさにその通りです。

 シフトチェンジ時のクラッチ操作を不要とするクイックシフターは、車体の揺れを防ぐためシフトダウン時には自動的にエンジンの回転数をあわせるブリッピングもしてくれ、さらにスリッパークラッチが急激なエンジンブレーキによる後輪ホッピングを軽減してくれます。

 試乗は箱根でおこないましたが、こうした装備のおかげもあってタイトコーナーの続くワインディングも肩の力を抜いて楽しめました。

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