マジ…すげぇ! 斬新な「観音開きスライドドア」ミニバンはとにかく凄かった! 販売苦戦…ジーカー「MIX」に中国で試乗、印象は?
斬新ミニバン、いざ試乗! どんな印象?
実際に運転席に座ってみるとダッシュボードの広さを真っ先に感じます。
これはAピラーが凄く寝ていることに起因しますが、それと同時にフロントオーバーハングは短く設計されているので、このダッシュボードの広さでも意外と前方視界はクリアです。
一方でAピラーは凄く太い2本のピラーで構成されています。Bピラーレスのために剛性を確保する設計なのかもしれませんが、左右前方の視界に影響するほどの太さなのはマイナスポイントです。
車両重量が2.7トン近くある車体ながらも、トルクフルなモーターのおかげで加速におけるストレスは感じません。
短い前後のオーバーハングに加えて3008 mmというホイールベースは操舵性に一見難がありそうですが、意外にも取り回しはしやすく、狭い範囲でのUターンも特に問題なくこなしてくれます。
一方で乗り心地に関してはフロントとリアで大きな差を感じました。
サスペンション自体はフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式となります。
全体的に硬めな乗り味ですが、運転席に座って運転している際は特に不快感を覚えず、路面の凹凸や段差を上手に処理してくれる印象です。
ですが、リアに座ってみるとその印象はまったく逆になり、フロントでは上手く乗り切っていた凹凸や段差の皺寄せがすべてリアに寄せられていると感じました。
突き上げ感も酷く、酔いやすい人にとってはかなり辛いかもしれません。

多彩な機能を備えるユニーク名ミニバンですが、一方で販売状況は最悪です。
満を持して2024年9月に発売して以来、月間販売台数が500台を超えた月はたったのひと月のみ、そして2025年1月以降は毎月100台前後を記録しています。
この状況はビジネス向けには車格が小さく、またファミリー向けには多機能&高価格すぎることに起因するターゲットのブレが主な要因と推測されます。
単なるBEVとして見てもその価格は高く、ディーラーにとっても売るのが難しい車種でしょう。
せっかく機能やデザインが斬新でも、商品として市場の需要を的確に捉えていなければ厳しい結果に繋がることを感じさせてくれた1台でした。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。










































