改良版はどんな進化を遂げた? レクサス「RX」刷新で「走り」が変わった!? 「絶対的エース」の印象は?【試乗記】

走りの面では色々と進化しているが…肝心なハンドリングのバランスが…

 フットワークの進化はどうでしょうか。

 従来モデルは重厚でゆったりとした乗り心地が評価される一方、「バネ上の動きが大きい」と言う指摘もあった事から、サスペンション(AVS)とEPSを再チューニングしています。

 パワートレインにも手が入っています。

 従来モデルは良く言えば“穏やか”、悪く言うと“トロさ”がありましたが、ドライバーの操作により素直に応えるべく駆動力特性をよりレスポンシブな方向に変更。よりコントロールしやすくなっていると言います。

 また、従来はRX500h Fスポーツパフォーマンスのみの設定だったリア操舵(DRS)をRX450h+とRX350hのAWDモデルにも拡大。

 スポーツモード選択時は同相転舵領域を中速にまで拡大することで、旋回時の応答性をより向上させていると言います。

 懸念の1つだったバネ上の動きですが、確かに高速道路の連続した大きな凹凸や首都高のジョイント乗り越え時のクルマの動きは抑えられています。

 しかし、入力を素早く抑えようとするが故に吸収スピードが短いのが原因なのか揺さぶられるような動き強いのと、減衰感が強いようで足の動きにしなやかさが薄れてしまったような気がしました。

 その傾向はバージョンLのほうが強く、走り始めて「タイヤの空気圧高め?」と思って確認したほど。

 逆にバージョンLよりも引き締め方向のFスポーツのほうが入力と吸収のバランスは良い上にスッキリとした減衰感も相まって、体感的な乗り心地はむしろ良いと感じました。

フットワークの進化は?
フットワークの進化は?

 ハンドリングはどうでしょうか。

 全体的には「軽快、キビキビ」な味付けになっています。つまりNX方向に寄ったイメージです。

 その結果、より軽く/より小さいクルマに乗っているような手の内感は出ていますが、逆にRXの旨味であった「重厚、ゆったり」と言う大人の余裕を感じる走りが薄れてしまったのと、ハンドリングのバランスが崩れてしまった感があるのが、正直な印象です。

 その中でも今回の改良でDRSが採用されたRX450h+とRX350hのAWDモデル(どちらもバージョンL)が顕著で、舵を入れるとフロントの反応よりもリアが先に曲がろうとする感覚が強く、結果として「曲がらなそうなのに、曲がる」と言う何とも不思議なフィーリング。

 逆にRX500h Fスポーツパフォーマンスは従来モデルでは他のRXとは別格なキレのある走りが特徴でしたが、新型は丸くなまされてしまった印象で他のRXに寄ってしまった感がしました。

 DIRECT4を活かしたアンダー知らずだったハンドリングも、新型ではグッと踏ん張るリアに対してフロントが逃げ気味(=アンダー多め)で、結果として一体感も薄れてしまったような気がしました。

 そういう意味では、DRSが付かないRX350(Fスポーツ)が一番素直なハンドリングに感じましたが、リアに対してフロントが足りない印象は他の3台と同じでした。

筆者はRXの強みは「ゆとり」、「重厚」、「優しい」だと思っている
筆者はRXの強みは「ゆとり」、「重厚」、「優しい」だと思っている

 ちなみに今回のRXの改良では、他のレクサスモデルが採用する補剛は行なわれていません。

 開発陣にその辺りの理由を聞くと「現状の車体では構造上補剛の追加が難しい」との事でした。

 やはりDRSを活かしつつハンドリングのバランスを整えるには、車体側の変更特にフロント前端の補剛は必要でしょう。逆を言えば、まだまだ “引き出し”はあると言うわけです。

※ ※ ※

 そろそろ結論に行きましょう。

 クルマ全体で見ると商品性は上がっていますが、走りに関しては「三歩進んで二歩下がる」と言うのが本音です。

 少々厳しい評価ですが、引き上げたい性能を欲張りすぎてしまった事で元々のバランスを崩してしまったのかなと。

 RXはレクサスの販売を支えるモデルとして多種多様なニーズを叶える必要があるのも解りますが、だからこそブレずにドンと構える必要があると思います。

 ちなみに筆者はRXの強みは「ゆとり」、「重厚」、「優しい」だと思っています。

 レクサスのクロスオーバーSUVシリーズはNXと鉄壁の2トップ体制を敷いているからこそ、各モデルの“役割”はより明確にしたほうがいいと考えます。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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