スバルの「超“極小”ミニバン」がスゴい! 全長3.5m級ボディに「3列シート」!? 「4人」寝られる車中泊仕様もあった「ドミンゴ」とは

2代目「ドミンゴ」にはユニークな純正「キャンパー」仕様も設定

 1994年、ベースとなるサンバーが5代目(サンバーディアス)へとフルモデルチェンジしたことを受け、ドミンゴも2代目へと進化しました。

画像は2代目「ドミンゴ」純正キャンピングカー仕様「アラジン(Aladdin)」のインテリア[画像提供:SUBARU]
画像は2代目「ドミンゴ」純正キャンピングカー仕様「アラジン(Aladdin)」のインテリア[画像提供:SUBARU]

 ボディサイズは全長3525mm×全幅1415mm×全高1995mm(4WD)と、初代同様のコンパクトさを維持。エンジンは全車1.2リッターとなり、待望のオートマチックトランスミッション(ECVT)やパワーステアリングが設定され、快適性が大幅に向上しました。

 開放的なサンルーフも「サンサンルーフ」として継承されました。

 そして2代目ドミンゴには、さらにユニークな派生モデルも存在しました。それが「アラジン」です。

 なんと、ルーフ部分が上に開いて就寝スペースとなるポップアップルーフを備えたキャンパー仕様が、メーカー純正のカタログモデルとして設定されていたのです。

 室内もフルフラット化が可能で、合計4人が就寝できる本格的な車中泊仕様でした。

 当時は受注生産で282台しか販売されなかったようですが、現在のキャンプ・車中泊ブームを考えると、時代を30年も先取りした画期的なモデルだったといえるでしょう。

 しかし、ドミンゴはそのユニークさにも関わらず、1998年に生産を終了。後継モデルが登場することはありませんでした。

 スバルの3列シート車は、その後オペルからのOEM供給車「トラヴィック」(2001~2005年)や、自社開発の「エクシーガ」(2008~2018年)が登場しましたが、エクシーガの派生モデル「エクシーガ クロスオーバー7」が2018年に販売を終えると、現在の国内ラインナップから3列シート車は消滅してしまいました。

※ ※ ※

 軽自動車とほぼ変わらない極めて小さなボディで7人乗りを実現し、回転対座シートやポップアップルーフ仕様まで用意したドミンゴ。

 その巧妙なパッケージングとユニークな発想は、現代のコンパクトミニバン市場から見ても非常に魅力的です。

 現代の安全基準や環境基準を満たしながら、あのコンパクトさで多人数乗車を実現するのは容易ではないかもしれません。

 しかし、ドミンゴが示した“小さな巨人”のコンセプトは、今改めて注目されるべき価値を持っているのではないでしょうか。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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