トヨタ「カローラアクシオ/フィールダー」生産終了! 新車170万円×ちょうどいい「5ナンバーボディ」13年の歴史に幕! お手頃感ある「日本車の良心モデル」終焉に“悲鳴”も

トヨタのベーシックセダン/ワゴンの「カローラアクシオ/フィールダー」が生産終了します。販売現場には悲痛の声が寄せられているようです。

使い勝手がよく、壊れない 「日本車の良心」が生産終了

 2025年2月、トヨタ「カローラアクシオ/カローラフィールダー(以下アクシオ/フィールダー)」が同年10月末をもって生産を終了することが発表されました。
 
 今や貴重な存在ともいえる、5ナンバーサイズのセダン/ステーションワゴンとして根強い人気を博してきたモデルが幕を下ろすことについて、販売店には多くのユーザーから問い合わせも増えているようです。

生産終了する「カローラアクシオ/カローラフィールダー」
生産終了する「カローラアクシオ/カローラフィールダー」

 カローラは1966年にデビューを飾り、それ以後は大定番の乗用車として世界各国でも親しまれる「日本車の顔」です。

 2012年5月、11代目カローラとして4ドアセダンのアクシオと、5ドアステーションワゴンのフィールダーがデビュー。

 2018年6月には、12代目の現行型カローラが登場します。まず5ドアハッチバックの「カローラスポーツ」がデビューし、その後、2019年9月に4ドアセダンと5ドアステーションワゴンの「ツーリング」がデビューします。

 一般的に、フルモデルチェンジが行われた時点で、旧型となった先代モデルの生産を終了しますが、アクシオ/フィールダーは先進機能の採用などの改良を実施し、2025年現在もなお継続生産されてきました。

 もちろんこれには2つの理由があります。

 まず、現行カローラのボディサイズを見てみると、カローラセダン/ツーリングは全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mm(ツーリングは1460mm)、カローラスポーツは全長4375mm×全幅1790mm×全高1460mmです。

 いっぽう、アクシオ/フィールダーは、全長4400mm×全幅1695mm×全高1460mm(フィールダーは1475mm)です。

 このように現行モデルのカローラ“3きょうだい”は、いずれも3ナンバーボディへと大型化したのに対して、カローラアクシオ/カローラフィールダーは駐車場に困らず、取り回しやすい5ナンバーサイズを維持しているのです。

 さらに、価格についてもカローラセダン/ツーリング/スポーツはいずれも200万円を超え、なかには300万円を超えるものもあるなど、高価格帯です。

 いっぽう、アクシオ/フィールダーは現在も170〜180万円台のモデルも設定するなど、非常に安価なまま。

 これは12代目になってプラットフォームの一新や走行性能の向上、先進安全機能の強化なども理由ですが、やはりベーシックな乗用車としてはこの価格上昇はなかなかつらいところがあります。

 そういった意味で、今回のアクシオ/フィールダーの生産終了には、大きな打撃を受ける人もいるようです。

 これについて首都圏のトヨタディーラーに、アクシオ/フィールダーユーザーからの評価や今も受注可能かどうかなど、聞いてみました。

「『クラウン』もそうですが、カローラも長年慣れ親しんできたお客様が多く、アクシオ/フィールダーの生産終了を残念に思ってくださる方が意外なほど多いことに驚いています。

 販売の現場からしても、設計年次が新しく、安全装備や燃費などにも優れた現行モデルの方がクルマとして優れていることは理解しているつもりです。

 旧型になったとはいえ、クルマとしての性能が極端に劣っているわけではありませんし、『壊れなくて、使い勝手がよくて、なおかつ手が届く価格』として、アクシオ/フィールダーが根強い人気を誇っていることも事実です。

 現在の受注状況についてですが、当店では受注停止の状態なんです。

 アクシオ/フィールダー生産終了の情報を知り、車検のタイミングで乗り換えようと思っていたお客様もいらっしゃいましたが、オーダーをお受けすることができないのが心苦しいです」

 また別の販売店ではこのようなコメントもありました。

「法人車両、つまり営業車としてアクシオを選ばれる企業様もいらっしゃいました。具体的な業種としては税理士事務所様でしたね。

 ご担当者の方によると、手堅く、堅実さをアピールする意味でも、アクシオは非常にいい落としどころなんだそうです。

 また、クセのない操作感で、運転経験の浅い新人の方が乗っても扱いやすいクルマだと評価していただきました。今回、生産終了だと知り、とても残念だとおっしゃってくださいました。

 アクシオ/フィールダーのご注文についてですが、現時点では受注できない状態が続いています。

 根強い人気を誇るモデルであったので、もうしばらく生産を続けてほしかったというのが本音ですね。

 我々としてもお問い合わせがあるたびにお断りをするのが心苦しいです」

 堅実な選択肢として、多くの法人ユーザーに親しまれたアクシオ/フィールダー。

 新車が高騰し、多くの機能が備わるなか、「ちょうどいい」「これで充分」と思わせるだけの商品力、完成度の高さが、アクシオ/フィールダーの最大の魅力ではないでしょうか。

 設計年次が古いクルマだし、生産終了もやむなしと決めつけるにはあまりにも忍びない…。

 筆者(松村透)の親族もアクシオ(4WD)を所有しており、運転するたびに使い勝手の良さを実感しています。

 またひとつ、トヨタとしてはもちろん、日本車としての良心が詰まったモデルの生産が終了することが残念でなりません。

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Writer: 松村透

株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。

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