スバル新「スポーツセダン」がスゴイ! 馬力アップの「水平対向ターボ」&専用ワイドボディ採用! “シリーズ初の2ペダル”となったSTIのコンプリートカー「S210」の実力とは?【試乗記】
2025年3月31日、スバルは「S210」のオフィシャルサイトをオープンし、抽選受付開始時期やボディカラーのラインナップを発表しました。発売が待たれるなか自動車ジャーナリストの山本シンヤ氏がひと足先に試乗し、レポートします。
最新STIコンプリートカーは“初の2ペダル”
スバルのモータースポーツ活動を行なうために1988年に設立されたSTI(SUBARU Technica Iinternational)ですが、その経験・知見を活かしたコンプリートカーやスポーツパーツの開発・販売も手掛けています。
黎明期はノーマルよりも尖ったモデルが多かったですが、次第に欧州のプレミアムブランドを意識したクルマづくりにシフト。
それは速さ一辺倒ではなくトータルバランスを重視した上で、数値に表れにくい走りの質まで熟考したモデルです。
特に2006年に辰己英治氏(近代スバルの走りを磨き上げてきたエンジニア)がスバルから転籍して以降は、「運転が上手くなるクルマ」と言う新たな魅力を加えた商品づくりを一貫して続けています。
そんなSTI社がリリースするコンプリートカーの頂点は、パワートレインを含めた車両全てに手が入る「Sシリーズ」になります。

これまで数々のモデルがリリースされてきましたが、その中でも最も多いのが、歴代「インプレッサWRX STI」「WRX STI」をベースにした「S20系」でしょう。
その系譜は2019年に登場したS209(北米専売モデル)で止まっていましたが、5年ぶりに登場したのが現行「WRX S4」がベースとなる「S210」です。
開発コンセプトは「NBRレースカー直系2ペダルスポーツセダン」になります。
これまでも間接的には謳っていましたが、ここまで明確に宣言をしたモデルは初です。
開発責任者の高津益夫氏はこのように語っています。
「STI社は2009年からニュルブルクリンク24時間に挑戦し続けています。
このレースは世界一厳しいコースと呼ばれるニュルブルクリンク(以下、ニュル)を複数のドライバーが24時間交代しながら走りますが、ニュルでは速いだけではダメで、安心して楽に走れないと勝つことはできません。
そこでクルマに求められる重要な要素は『意のままに操れるコントロール性』になります。
その考えはレースカーも量産車も同じです。
そこでS210はNBRのマシンで証明された技術・ノウハウを今まで以上に色濃く再現すべきだと考えました。
一般的に『意のまま』と言うとフットワーク系の事を指すように思われがちですが、今回はシャシのみならず、パワートレイン、ドライブトレインを含めたクルマ全体でコントロール性を引き上げているのが、最大の特徴となります」
その実現のために、「Sシリーズ初の2ペダルモデル」、「従来と異なるカスタマイズ内容」など、従来の概念に囚われない新たな挑戦が行なわれています。
それが故にその本質はぱっと見やスペックだけでは伝わらず、東京オートサロン2025で初披露されるやいなや、「特別感がない」、「これでSシリーズなのか?」など、賛否が出たのも事実です。