謎のATシフト「Nレンジ」いつ使う?「燃費節約」説あるけど…実は「思わぬ大事故」招く危険も!? 知っておきたい「納得の存在理由」とは

多くのAT車には、シフトレバーに「N」レンジが用意されています。この「N」レンジとは一体どんなシフトなのでしょうか。またどういった時に使うのでしょうか。

実際どうなのか

 実は、どちらの理由でもNレンジは適切とはいえません。

画像はイメージ(画像:写真AC)。
画像はイメージ(画像:写真AC)。

 まず後者の「ガソリンが節約できる」説ですが、近年のクルマには「ニュートラルアイドル制御」という機能があるため、ブレーキを踏んで停止すると自動的にギアとエンジンが離される仕組みになっています。

 そのため、わざわざNレンジに入れる必要性が無く、Dレンジのままで自然とニュートラルになるのです。

 もう一つの「ブレーキペダルから足を離せる」という説ですが、こちらも思わぬ危険を伴うリスクがあります。

 というのは、NレンジからDレンジへ戻す際、エンジンが高回転になっていると「急発進」が発生するからです。

 例えばNレンジのままうっかりアクセルを踏んで、エンジンがブン回っている状態。それでなくても、エアコンなどをフル稼働させていると、その電力のためにエンジンが少しだけ高い回転になっていることがあるのです。

 信号待ちや渋滞時に一瞬でもこの「うっかり急発進」が起きると、即追突につながり、危険です。

 ではどうすればいいのか。答えは簡単で、別にわざわざNレンジに入れず、「Pレンジ」に入れればいいだけなのです。

 さらに近年のクルマには「オートブレーキホールド」機能があり、一度停止すれば自動でブレーキモードになり、ブレーキペダルから足を離してもブレーキが効いたままになってくれます。

 ※ ※ ※

 では結局、Nレンジは何のために存在しているのでしょうか。

 それは「ギアとエンジンを離す」こと自体に意味があります。

 まず、エンジントラブルやパンクなどでクルマが動かなくなった場合は、人力で押したり他車に引っ張ってもらうことになります。そんな時にギアとエンジンがガッチリつながっていると、動かないエンジンのせいでタイヤが転がらなくなってしまいます。そのためあらかじめNレンジに入れて、「ただの転がるクルマ」状態にしておくわけです。

 もうひとつ「DレンジとRレンジのあいだにワンクッション挟む」という考え方です。エンジンがブンブン回っているところでいきなり逆向き方向へギアを入れると、ギアにストレスがかかってしまうので、いったん切り離してから、あらためてつなぎ直すほうがギアに優しいというものです。

 もっともこちらは近年ではうまくコンピューター制御されているので、あまり気にすることではない存在理由と言えるでしょう。

【画像】「なんとぉぉ!」未来的すぎ!? これが日産の「斬新すぎるシフト」です(20枚)

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Writer: くるまのニュース編集部

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