全長4m以下! トヨタ「ライズ」なぜ販売好調?「ヤリスクロス」より小さいのに後席広い!? 180万円から買える“最小SUV”の魅力とは?
トヨタで最も小さいSUVとしてラインナップされるのが「ライズ」です。登場から5年以上が経過した現在も販売が好調です。同じくトヨタの小型SUV「ヤリスクロス」と比較して、どのようなところが優れているのでしょうか。
登場から5年以上経過の「ライズ」なぜ人気?
2025年1月の小型/普通車販売ランキングを見ると、1位のトヨタ「ヤリスシリーズ」、2位のトヨタ「カローラシリーズ」などに続いて、トヨタ最小SUVの「ライズ」が8位に入りました。
ライズは発売から5年以上を経過しますが、新型車で販売の好調なホンダ「フリード」に迫る売れ行きです。
なぜ発売から5年以上を経過するライズの販売が、今でも好調なのでしょうか。

販売店に尋ねると以下のように返答されました。
「ライズには売れる要素が多いです。例えばコンパクトSUVで人気の『ヤリスクロス』と比べると、ライズは5ナンバーサイズで運転しやすく、なおかつ後席はヤリスクロスよりも広いです。
価格は割安で、実用性を重視するファミリーのお客様は、ヤリスクロスよりもライズを好まれます」
では、ライズとヤリスクロスを比べてみましょう。
ボディはライズが小さいです。全長は3995mmですから、ヤリスクロスよりも約200mm短く、全幅も1695mmと70mm狭く設定。そのために5ナンバー車になります。
最小回転半径はライズが4.9~5.0m、ヤリスクロスは5.3mですから、小回りの利きもライズが優れています。
加えて、後席はライズが広く、身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ弱。
ヤリスクロスは同じ測り方で握りコブシ1つ少々ですから、大きな差ではありませんが、後席はライズが快適です。
後席使用時の荷室長は、ライズが755mmですから、ヤリスクロスの820mmに比べて短いです。しかし荷室高は、全高の高いライズが865mmを確保しており、850mmのヤリスクロスよりも若干の余裕があります。従って背の高い荷物の収納性はライズが優れています。
このようにライズは、5ナンバーサイズのボディで小回りの利きが優れ、なおかつ後席も広く荷室も使いやすいです。
ボディスタイルは、ライズはフロントマスクの厚みを強調してワイルドなデザインとなっており、「RAV4」を小さくしたような印象も受けます。このあたりも鋭角的なフロントマスクを備えた都会的なヤリスクロスとは対称的です。
そして最近は、都会的なSUVが増えた反動もあって、トヨタ「ランドクルーザーシリーズ」やスズキ「ジムニーシリーズ」のような悪路向けSUVが人気を高めており、ライズの野性的な外観は、このデザイントレンドにも沿っているといえるでしょう。
ライズのパワーユニットは、1.2リッターガソリンエンジン、1.2リッターハイブリッド、4WDが搭載される1リッターターボの3種類です。
最も価格が安いのは1.2リッターガソリン・2WDの「X」で、180万700円(消費税込、以下同様)ですが、買い得なのは中級グレードの「G」(195万8000円)です。
200万円を下まわりながら、LEDヘッドランプ、アルミホイール、エアコンのオート機能、6スピーカーなどを標準装着しています。
ちなみにライズGに価格の近いヤリスクロスは、1.5リッターガソリンエンジンを搭載する190万7000円の「X」で、ヘッドランプはハロゲンでホイールはスチール、エアコンはマニュアルタイプでスピーカーは2個です。
そのため、装備と価格のバランスはライズが優れているでしょう。
一方、ヤリスクロスにも魅力はあり、それは内外装の質感がライズを上まわることです。
ヤリスクロスのエンジンは1.5リッターなので、1.2リッターがメインのライズより余裕があります。
ステアリング操作に対する車両の反応なども、ヤリスクロスが正確です。そうなるとデザインの質や走行性能にこだわるユーザーにはヤリスクロスが適しており、実用性と価格の割安度を重視するならライズになります。
※ ※ ※
ライズは、納期も2~3か月に収まって購入しやすいでしょう。
2025年2月中旬時点でランドクルーザーは「70/250/300」のすべてが受注を停止しており(250は定額制カーリースのKINTOは受付中)、ハリアーも受注停止する中で、ライズは正常に販売できる数少ないSUVとなっています。
ライズの根強い人気は、クルマにとって生活の中で便利に使える実用性、割安な価格、適正な納期がいかに大切かを物語っています。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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