どんな“未知な道”でも走破出来る? 「そう!トライトンならね!」 本格オフロードで見えた実力とは【試乗記】

北海道の新千歳モーターランドのモトクロスコースで三菱「トライトン」を試乗。土地の起伏を活かしたダイナミックなコースは、すり鉢状のコーナー、連続した凸凹路面、急こう配(30度以上)の登り坂/下り坂が組み合わされていますが、どのような走りが体感出来たのでしょうか。

トライトンの限界は? 本格オフロード体験で見えた実力とは

 12年ぶりに日本に再導入された「トライトン」は、1978年に発売された「フォルテ」をルーツとするボディオンフレーム式のピックアップトラックで、三菱の重要な世界戦略車の1台です。
 
 6代目となる現行モデルはメカニズムを全て刷新されています。
 
 日本ではピックアップトラック市場はとてもニッチですが、2024年2月の発売以降、月販計画(200台)を大きく上回る販売台数を記録しています。
 
 昨今、乗用車ライクなSUVが世に溢れていますが、“本物”を求めるユーザーはもちろん、若い人の目に刺さったと言うわけです。
 
 オンロードでは走りは、後ろを振り向かない限りは「君は本当にピックアップトラックなの?」と錯覚してしまうくらい、ボディサイズを感じさせない扱いやすさに加えて、俊敏で一体感のあるスポーティな走りと快適性の高さに驚かされます。
 
 そうしたなかで、今回はトライトンの“本拠地”ともいえるラフロード、今回は雪上での試乗となります。

トライトンの限界は? 本格オフロード体験で見えた実力とは
トライトンの限界は? 本格オフロード体験で見えた実力とは

 そのステージは北海道の新千歳モーターランドのモトクロスコース。土地の起伏を活かしたダイナミックなコースは、すり鉢状のコーナー、連続した凸凹路面、急こう配(30度以上)の登り坂/下り坂が組み合わされています。

 基本はバイク用なので道幅は狭い上にタイトなターンも多いなど、クルマで走らせるには過酷な道です。

 おまけに先に走った組が路面を掘り起こしており、雪と泥が混じった非常に難しい路面状況です。ただ、三菱の開発陣は「これくらい楽勝ですよ」と笑顔。

 歴代モデルと同じボディオンフレーム構造ですが、フレームは新設計。高張力鋼板の使用比率アップや断面の大型化などにより、クラストップレベルの剛性を実現。

 組み合わされるサスペンションも新設計で、ストローク拡大やショックアブソーバー径のアップなどが行なわれています。

 組み合わされる4WDシステムはパジェロ譲りのスーパーセレクト4WD-IIにブレーキAYCを加えた“進化版”です。

 このシステムはパートタイム式のトランスファーとフルタイム4WDのセンターデフ(トルセン式)を両方搭載することで、二輪駆動(2H)の省燃費、フルタイムAWD(4H)の安定した走行、直結AWD(4HLc/4LLc)での悪路走破性と、走行シーンや使用用途に合わせてモード切り替えが可能なシステムです。

 トライトンでは更にブレーキAYCと4輪のブレーキ制御(ABS&スタビリティ&トラクションコントロール)を統合制御することで、ほぼS-AWCに近い性能を実現させています。

 ドライブモードはNORMALを基本に、ECO(2H)、GRAVEL/SNOW(4H)、MUD/SAND(4HLc)、ROCK(4LLc)が選択可能で、スロットル制御とブレーキAYC 、スタビリティ&トラクションコントロールを路面環境に合わせて最適化しています。

パジェロ譲りの「トライトン」の実力は?

 まずは4Hで走ります。急こう配は雪と泥でズルズルだったため勢いをつける必要がありましたが、それ以外は特に問題なく“普通”に走破できました。

 先が見えない所は「ノーズビューカメラ」、「サイドビューカメラ(左右)」が役に立ちましたが、継続表示ができないのは要改善項目。

 開発陣に聞くと「モニターを凝視しないと言うルールがあるので」と教えてくれましたが、ドライブモードや速度など条件が揃った時だけでも使えるようにしてほしいです。なんせ、途中で見えなくなる不安です。

 路面が荒れている所は大きな突き上げやドンと地面に落とされたりした時の衝撃は上手に丸められて(=上手に減衰)乗員に伝わるので体が揺さぶられにくく、ステアリングやアシストグリップにしがみ付かなくても支えられます。リアシートにも座ってみましたが跳ねも最小限と言った感じでした。

 続いて直結4WDの4HLcで走行します。急こう配でも4Hより安定した挙動と路面が悪い所でもグイグイとトラクションが掛かるので安心感が全然違います。

 ただ、Rが小さいコーナーではタイトコーナーブレーキング現象で大回りになるので注意が必要です。

 ちなみに今回は全く役目なかったものの、4LLc+リアデフロックが最強で「これでもダメなら諦めろ」だそうです。

 ちなみに2.5Lディーゼルターボ(204ps/470Nm)は舗装路面では十分以上のパフォーマンスですが、どちらかと言うと回転で出力を稼ぐタイプなので雪道だともう少し粘りがあったほうがドライバビリティは良さそうな気がしました。個人的には48VマイルドHEVと組み合わせるのもアリかなと。

 ここまではある意味“想定内”と言った感じですが、速度を上げて走らせるとトライトンのもう一つの“顔”が見えてきます。

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