どんな“未知な道”でも走破出来る? 「そう!トライトンならね!」 本格オフロードで見えた実力とは【試乗記】
ドライブモードの「Gravel」と「Snow」違いは?
4H、ドライブモード:Gravel、そしてスタビリティ&トラクションコントロールOFFで走行しましたが、縦置きレイアウトに加えて見た目よりも低重心な基本素性、更に40:60をベースとするトルク配分とブレーキAYCの制御により、滑りやすい路面でも操舵時の応答の良さと安定性の高さから、2トン越えのピックアップである事を忘れるくらい自由自在にクルマをコントロールが可能でした。
中でもRの大きなコーナーでフェイントをきっかけにスライド気味で進入しながらアクセルをグッと踏みこんでいくとノーズがスッと進行方向を向き、「君はランエボか?」と思うくらいの綺麗なゼロカウンターの姿勢で旋回。それもエイヤと言う力技ではなく自然かつ素直に曲がります。

一方、ドライブモード:Snowで走らせると、スライドを許容するGravlとはうって変わって無駄な動きを抑えて安定方向に姿勢をコントロールしながら、とにかくクルマを前に前に進めよう(=トラクション重視の走り)とする安心・安全の走りを見せます。
これなら初心者が滑りやすい路面を初めて走ってもドキッとすることもなく、常に自信を持って楽しく走れると思います。
このようにドライブモード(=制御の特性)の違いで様々なキャラクターに化けられる「懐の深さ」は、基本素性と4輪制御技術の両方が揃ってこそ実現できるのです。
そろそろ結論に行きましょう。
「悪路走破性」と「意のままの走り」を高いレベルで両立させているピックアップトラックは、世界中探してもトライトンだけでしょう。
個人的にはピックアップを超えたスポーツピックアップトラックと呼びたいくらいです。
トライトンのグレード名はGSR/GSLと古き三菱車のスポーツモデルのそれと同じですが、名前負けしていない事は今回の雪上走行でより理解できました。となると、当然次はエボリューションが欲しくなりますが。
三菱が追求している走りは、「どんな路面・天候でも、誰もが安心・安全・快適に自信を持って楽しく走れる」ですが、筆者はトライトンが現時点でそれを最も体現している三菱車だと思っています。
ボディサイズや車両重量、更には1ナンバーと不便な所もいくつかありますし値段もそれなりにしますが、それを差し引いても指名買いしたくなる1台です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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