フロントガラスにある「▲マーク」何のため!? ちょうど「目に入る」位置に存在! 謎マークの「正体」とは

クルマのフロントウインドウのふちに、小さな三角形が備わっている場合があります。ドライバーの目線にも入る謎の「▲マーク」ですが、運転に関わる重要な「目印(めじるし)」だといいます。どのような機能があるのでしょうか。

小さいけれどものすごい効果を発揮する「▲マーク」とは

 ホンダ車のフロントウインドウには、Aピラー(ガラスを支える柱)中央のふちのあたりに、小さな三角形のマークがあります。
 
 実はこのマーク、ドライバーが気づかないうちに車幅感覚を掴みやすくしてくれる「ものすごいアイテム」なのです。

言われないと「気付かない!?」 フロントウインドウにある謎の「三角マーク」とは
言われないと「気付かない!?」 フロントウインドウにある謎の「三角マーク」とは

 ホンダ車にのみ密かに備わっている装備とは、ドライバーの視線の少し上、約5ミリの大きさで左右向かい合うように配置された小さな▲(三角)マークのことです。

 初めて採用されたのは、2008年に登場した「フリード」でした。

 その後ほかのモデルにも次第に採用されるようになり、現在ではほぼすべてのホンダ車に装備され、例えば2024年7月に登場した新型フリードや、同9月に登場した「N-BOX JOY」にもしっかりと設置されています。

 4~5ミリの小さな二等辺三角形で、フロントウィンドウの黒い縁部分と同じセラミック素材だといいます。

 一見すると気づかないほど小さいものですが、ホンダによるとこの小さな三角マークには、ドライバーの視線を自然に補正するという重要な役割があると説明します。

 その有効性が発見されたきっかけは、ホンダが熟練ドライバーの「視線移動」について研究していた過程で得られたものだといいます。

 例えば幅3メートルほどの狭い道を左折する際、熟練ドライバーは主に水平方向に視線が移動しているのに対し、初心者ドライバーは視線が上下左右に散らばりがちで、安定していないのだといいます。

 そこでホンダは、視線の動きを無意識のうちに補正する手法として、小さな三角マークをフロントガラスに配置することを考案。

 運転中に気にならないサイズでありながら、視線を左右に振る場面で熟練ドライバーと同じ視線移動ができるよう、自然に誘導してくれるアイテムを設置するに至ったのです。

 年齢や性別、体格が異なるホンダ社員30人を対象にテスト検証を実施したところ、左折時の車両と壁までの距離のばらつきが大幅に減少し、より安定した運転が可能になったといいます。

 この小さなマークによって視線の乱れ、特に縦方向のブレが抑えられたことで車幅の把握が容易になり、より安定した運転操作に繋がったのだと考えられます。

 ホンダによると、狭い路地などでの接触事故を大幅に減少させる効果があるといい、しかも前述の検証からもわかる通り、ドライバーが無意識のうちに効果が出ているというから驚きです。

※ ※ ※

 近年はコーナーセンサーやカメラを活用した先進運転支援システムが普及しており、昔よりも安全確認は遥かに楽になっています。

 しかし考案されたこの▲マークは、電子機器のように大きなコストをかけずとも十分な効果をあげるものであり、まさにホンダエンジニアたちの知恵の結晶といえます。

 海外市場向けを含め、すべてのホンダ車に搭載されているというこの小さな三角マーク。普段は意識しない存在かもしれませんが、ユーザーの安全運転を陰ながら支えてくれているのです。

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Writer: 吉川 賢一

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど

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